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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年11月24日 No.3294 多様性を都市の活力につなげる -太田豊田市長が講演/人口問題委員会

経団連の人口問題委員会(岡本圀衞委員長、隅修三委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で委員会を開催し、愛知県豊田市の太田稔彦市長から、豊田市の在住外国人にかかる施策や課題等について説明を受けた。説明の概要は次のとおり。

■ 外国人集住地区の課題と取り組み

現在、豊田市には約1万5千人の外国人が居住している。市北部の保見団地では、総住民数約7000人の約半数が外国人であり、その大半がブラジル国籍である。団地内には、ブラジル人向けのスーパーがあり、ブラジル人コミュニティーが形成されていて、日本語なしで生活できる環境となっている。

保見団地では、1998年ごろに急増した外国人住民による問題が顕在化した。ごみ出しマナー、違法駐車、騒音など生活習慣の違いによる日本人と外国人のトラブル、外国人と右翼団体との対立などの問題が起こった。

こうした問題を解決するため、豊田市は、2001年に豊田市多文化共生協議会を立ち上げた。企業、地域住民、国・県・関係機関、ブラジル人学校、NPOなど当事者同士が集まって問題解決に取り組んできた。ポルトガル語表示でルールを徹底するなどにより生活習慣の問題は解決してきたが、子どもの教育、地域コミュニティーなどにおいて課題が残っている。

■ 外国人の子どもの教育の推進

豊田市において、日本語指導が必要な児童・生徒は757人である。来日間もない子どもや日本語が話せない子どもに対しては、市内3カ所に「ことばの教室」を開設し、平均で4カ月程度、日本語教育を行っている。今年度は4月から、74人の児童・生徒が入室している。また、児童・生徒の日本語能力にあわせた取り出し指導、入り込みによる指導も行っている。転入で突然ニーズが生じることも困難さが増す一因となっている。現在、全額市費で、49人の日本語指導員を配置している。年間1.2億円弱の財政負担は悩ましいが、負の連鎖を止めるために、子どもの教育は極めて重要である。

■ 外国人の活躍

外国人の活躍は豊田市の活力につながっている。市内在住・在勤の10カ国10人で構成される外国人市民会議では、外国人が生活するうえで抱える問題点の協議や市政への外国人目線での提案等が行われている。市役所では15人の外国人が通訳・翻訳職員として働いている。外国人住民が自国の文化を紹介する「ナショナルデー」も開催している。また、インドネシアのバンドン市との間で、双方にメリットのある介護福祉士候補者の受け入れ事業ができないか検討している。

■ 外国人受け入れ政策の課題

単なる労働力の確保の視点を越えて、家族や子どもを抱えている生活者として、外国人を受け入れることを前提とした制度設計が重要である。外国人にかかる政策は複数の省庁に分散しているが、長期的な視点と統一的なマネジメントを行ううえでは、「外国人庁」の設置が必要である。また、日本語教育以外にも、外国人を受け入れる自治体や地域には、さまざまなコストが生じている。政府には、地方都市が抱えている問題を理解いただき、適切な財政支援をお願いしたい。

【経済政策本部】

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