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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年12月1日 No.3295 榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は11月22日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

榊原会長はトランプ次期大統領が脱退する考えを表明したTPPについて言及した。TPPはアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠かつ日米にとっても極めて重要な経済的枠組みであり、政府にはトランプ次期大統領に支持してもらえるよう努力してほしいと要請。わが国の成長戦略の中核であるTPPを計画どおりに実現するため、11カ国が協力して米国に批准を働きかけていくことが最優先課題だと述べた。

トランプ次期大統領がTPPではなく二国間協定を進める方針であることについては、署名国のGDPの約6割を占める米国が入らなければTPPの意義が失われ、また、わが国は多くのTPP署名国と二国間協定を締結しており、米国抜きのTPPは効果が限定的になるとして、米国を含む12カ国でのTPP成立を目指して全力を尽くすべきだとの認識を示した。さらに、TPPは関税だけでなく知的財産権や政府調達など広範な分野にわたる質の高い包括的な協定であり、計り知れぬ価値があるとした。そのうえで、まずTPPを実現し、日中韓FTA、RCEPへとつなげ、最終的にFTAAPを目指すとの大きな構想を推進するため、その契機となるTPPの必要性を強調した。

春季労使交渉については、働き方改革実現会議で安倍首相から、少なくとも前年水準の賃金引き上げと4年連続のベアの実施、期待物価上昇率を勘案した議論などの要請があったことに触れ、経済の好循環を回していくためには賃金引き上げのモメンタムを維持していく必要があると指摘。年明けにも経労委報告で経済界のスタンスを明確にする旨回答したと述べた。

ベアについては、経済界は過去3年間ベアを実施し踏み込んだ対応をしてきたが、それ以前は5年以上ベアが実施されない状況が続いたことに言及。ベアは経営に長期的に影響するため、手当や賞与など業績反映型の処遇改善を重視したい企業が多いことから、ベアを含む年収ベースでの賃金引き上げを目指すことになるとの見通しを示した。今年度の企業業績は業種によって異なるが、単年ではなく3~4年の期間で見れば基調としては好調に推移しているとの認識を表明。そのうえで、経済の好循環を回していくとの社会的要請があるなか、ベアに限らず手当や賞与、労働条件など全体的な処遇改善が重要との考えを示した。

また、期待物価上昇率を勘案した議論については、政府の要請として会員企業に伝える必要はあるものの、わが国では実績値に基づき労使交渉を行ってきており、交渉のあり方に関する経済界の考えを経労委報告で示したいと述べた。

消費喚起策については、2月の最終金曜日から「プレミアムフライデー」と称するキャンペーンを開始したいと説明。消費者の将来不安や保守的な消費行動を転換し、明るい雰囲気をつくり出すような運動を展開していきたいとした。

日ロ関係については、安倍首相とプーチン大統領が会談を重ね信頼関係が醸成され、交渉の場が整えられており、経済界としても8項目の経済協力プランの実現をはじめさまざまなかたちで応援していくとした。平和条約締結は70年間実現しておらず簡単ではないが、成果を着実に積み上げ、12月のプーチン大統領訪日時の首脳会談で新たな大きな一歩が踏み出されることに期待を示した。

【広報本部】

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