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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月12日 No.3299 「逆境の中にこそ夢がある」 -蒲島熊本県知事が幹事会で講演

蒲島熊本県知事(中央)    ©2010熊本県くまモン

経団連は12月13日、東京・大手町の経団連会館で幹事会を開催し、蒲島郁夫熊本県知事から「逆境の中にこそ夢がある」をテーマに講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ 3つの政治

私は、熊本地震が発生した2016年4月16日に熊本県知事3期目に入った。3期目就任にあたり、熊本地震という逆境の中だからこそ夢を持ち、これまでとは異なる県政を行いたいと決意した。指導・規制・管理などを中心とする行政から、県民の“総幸福量最大化”にチャレンジする行政へとパラダイムシフトさせていきたい。

蒲島県政は、「決断の政治」「目標の政治」「対応の政治」の3つの政治で構成されている。

「決断の政治」に関しては、08年の知事就任以来、財政再建、川辺川ダム問題、水俣病問題など多くの決断をしてきた。特に財政再建については、給与カットや補助金削減などを決断し、熊本県の借金を7年間で約1兆700億円から約9200億円へと約1500億円削減した。

また、「目標の政治」に関しては、県民の総幸福量を最大化するという目標を掲げている。その目標に向かって、県民の経済的豊かさ、誇り、安全安心、夢を高める政策を展開してきた。例えば「くまモン」の誕生は、誇り、安全安心、夢のみならず、経済的豊かさにも貢献しており、「くまモン」の関連商品の売上高は11年から15年にかけて25億円から1007億円へと増加した。16年はそれを上回ることを期待している。

■ 熊本地震への対応

そして、「対応の政治」に関しては、まさに現在、熊本地震に対応しているところである。

私は、熊本地震からの1日も早い復旧・復興に向け、(1)被災された方々の痛みを最小化する、(2)単に元あった姿に戻すだけでなく、創造的な復興を目指す、(3)復旧・復興を熊本のさらなる発展につなげる――という3つの原則を掲げて取り組んでいる。

政治学に「ハンティントンのギャップ仮説」という有名な理論がある。人々の期待値に実態が追いついていないと、不満が高まるというものである。熊本地震後は、この理論を踏まえ、被災者の不満が高まらないよう対応した。具体的には、被災初日の人命救助、被災2~3日目の水・食料配布、その後の避難所の快適性の確保などの被災者が抱く期待に対し、自衛隊派遣や食料等配布を早急に充実させることで、期待に先んじて実態を大きくさせていった。

16年8月3日には、熊本県として「復旧・復興プラン」を取りまとめた。同プランのもと、県民の総幸福量の最大化を目指し、(1)くらし・生活の再建と創造、(2)道路、鉄道、阿蘇、熊本城、防災拠点などの「くまもと」の基盤の復旧と創造、(3)地域産業の再生と創造④港や空港などの復旧と「世界とつながる」機能強化――を行っていきたい。

熊本地震への対応をコストとしてとらえるのではなく、経済成長の原動力としたい。あわせて、熊本地震を風化させない取り組みも進めていきたい。

◇◇◇

講演の最後には、復興のシンボルマークにもなっている「くまモン」が登場し、会場を沸かせた。

【総務本部】

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