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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月2日 No.3302 第120回経団連労使フォーラム -鼎談「経営トップが推進する『働き方・休み方改革』」

右から鵜浦副会長、工藤副会長、佐藤教授

1月23、24の両日、東京・大手町の経団連会館で開催された「第120回経団連労使フォーラム」(前号既報)において、経団連の工藤泰三副会長・経営労働政策特別委員長、鵜浦博夫副会長・労働法規委員長、佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授による鼎談「経営トップが推進する『働き方・休み方改革』」が行われた。

◆ 多様な人材が活躍し続けられる環境づくり

鵜浦氏は、経団連の「働き方・休み方集中取り組み年」の活動を紹介し、技術革新の積極的な活用による労働生産性の向上、長時間労働の撲滅と誰もが働きやすい職場環境の整備を呼びかけた。

NTTでは、多様な人材が活躍し続けられる環境づくりに継続的に取り組んでおり、最近では、在宅勤務の条件緩和や勤務時間の分断制度の導入等を実施。在宅勤務と分断勤務の組み合わせにより、育児中の社員が、子どもの学校行事への参加や子どもの送迎等をしながら、フルタイムで働き続けている事例等を紹介した。

また、少子化・労働人口減少を前提とした場合に、今後は「継続的に働くために休む」ことができる環境づくりが重要と語った。

◆ 人手不足に対応したIoTを活用した生産性の向上

工藤氏は、生産年齢人口が減少し、企業が人手不足に直面してきていることから、女性および高齢者が活躍しやすい環境を整え、生産性を高めることの必要性を強調した。

そのうえで、物流の生産性向上の事例として、コンテナが機械制御により自動で動くAmazon物流センターのロボット在庫管理システム、IoTの活用による衝突・座礁事故の防止、航海中の作業負荷の軽減などに取り組むコンテナ運搬船の事例を紹介した。そして、トラック荷役の実態を用いて、生産性向上には、共同配送による積載効率向上などライバル企業との協力・協業や顧客企業を巻き込んだ取り組みも重要であると述べた。

◆ 自分自身をマネジメントできる社員

佐藤氏は、働き方改革の目的は残業の削減にあるのではなく、介護や育児、あるいは自己啓発などを行う、多様な人材が働きやすい職場をつくることであると指摘。このことが、時間意識の高い働き方への転換につながり、企業の競争力基盤の変化への対応が可能となると説明した。そのうえで、安易に残業で対応する“残業依存体質”を解消するには管理職の役割が大きいと指摘。必要な残業はする一方、労働時間が無限ではないことを踏まえ、例えば、毎日ではなくとも週2日は定時に帰り、仕事以外のやりたいことをつくる“生活改革”も必要であると説明した。

そのため、望ましい社員像についても、仕事時間をマネジメントし、自分のキャリアや生活をデザインできる社員へと転換する必要があるとした。

【労働法制本部】

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