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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月16日 No.3308 フラナガン・アイルランド外務・通商相との懇談会 -ヨーロッパ地域委員会

フラナガン外務・通商相(左)と石塚委員長

経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長)は2月28日、東京・大手町の経団連会館で、日・アイルランド外交関係樹立60周年を機に来日したアイルランドのチャールズ・フラナガン外務・通商大臣との懇談会を開催し、同国の経済情勢、ビジネス環境や英国のEU離脱問題(ブレグジット)への対応等について聞いた。説明の概要は次のとおり。

アイルランドは過去10年にわたり大きな経済問題に直面してきたが、一貫性のある財政・経済政策の実施により、今や景気回復は確実なものとなっている。失業率は約7%まで低下し、2016年のGDP成長率は4%超を達成、17年は3.5%成長となる見込みである。世界の通商面における不確実性が高まるなか、日本とアイルランドのような国々が一丸となって自由貿易を推進していかなければならない。そのためにも日EU EPAの早期実現が不可欠と考えている。

ブレグジットに関し、アイルランドは英国と陸地で国境を接する唯一の国として、貿易や経済への影響の最小化、北アイルランド和平プロセスの保護、アイルランド・英国間の共通旅行区域の維持等を優先課題として取り組んでいく。アイルランド国民の約9割がEUを支持しており、わが国のEUおよびユーロへのコミットメントは揺らがない。アイルランド政府は、日本政府が9月に発出した「英国およびEUへのメッセージ」における明確な姿勢を高く評価している。英・EU間の市場の一体性をできる限り確保し、ビジネスへの影響を最小限とすべきだという意見に完全に同意するものである。

ブレグジット対策の一環として、アイルランドは経済の多角化を目指し、日本をはじめとするアジア太平洋地域を対象とした分野横断的な戦略の策定を進めている。英国のEU離脱がもたらすインパクトは非常に大きく、将来的な市場アクセスの不確実性や金融パスポート制度の適用継続の可否、欧州医薬品庁(EMA)の移転など多くの懸念があるものの、アイルランドは春以降の交渉開始に向けて、着々と準備を進めているところだ。アイルランドは言語、法制度などあらゆる面において英国に非常に似ており、人口のおよそ3分の1が25歳以下と若く教育水準が高い等、良好なビジネス環境を有している。ブレグジットを受けて、ロンドンからダブリンへの移転を検討し始めた企業もある。多数の日本企業がアイルランドに成功裡に進出し、事業を拡大してもらっていることに感謝する。引き続き、わが国を対EU投資の拠点として検討してほしい。

【国際経済本部】

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