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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月23日 No.3309 千葉大学を訪問 -高大連携の積極的な取り組みを聞く/教育問題委員会企画部会

学生による理科実験を見学

経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)は3日、理系人材養成の推進プログラムである「次世代才能スキップアップ」プログラムの実施や、多様な入試制度(飛び入学制度等)の活用をはじめ、高大連携による次世代人材の育成に積極的に取り組んでいる千葉大学を訪問し、大学関係者および連携高校の教員から、その意義や課題について説明を聞くとともに懇談した。概要は次のとおり。

■ 高い学習意欲を持った高校生を受け入れる

理系人材養成プログラムである「次世代才能スキップアップ」プログラムは、千葉大学が県内の高校とコンソーシアムを組み、科学に関心がある生徒を高大協働で発掘し、早い段階から高度な科学体験や教育を提供するものである。同プログラムが育成を目指すのは、「理系研究者としての才能」と「異文化のなかで、他者と調和しつつ、自らを表現し、自己実現していく力」をあわせ持つ人材であり、効果的に時代をリードする次世代理系グローバル人材を世界に向けて輩出することを目的としている。休日や夏休みなどを利用して自ら進んで学習する意欲的な高校生が数多く参加している。

■ 「飛び入学」制度とは?

千葉大学が推進している高大連携改革のもう1つの柱として「先進科学プログラム」、いわゆる「飛び入学」制度がある。高校2年修了後、通常より1年早く大学に入学できる制度で、欧州諸国やアジア諸国の大学では、若い才能の発掘に実績を挙げている標準的な制度であるが、日本ではあまり普及していない。

千葉大学では1998年から実施しており、入学後は、所属する学部・学科の授業科目と並行して、基礎をしっかりと学び個性を伸ばすための「少人数制先進科学セミナー」や、学内外の教員が自然科学の話題を中心に講義する「オムニバスセミナー」など、専用のカリキュラムに基づいた専門教育を受けられる。これらにより学生は、研究の基礎力を培うとともに幅広い教養を習得し、国際的にも活躍できる研究者を目指すことができる。また、当プログラムを履修し卒業した学生の博士号取得率は22%を超えるなど、研究志向が強く示されており、卒業生の多くは大学・研究機関・企業などで研究職として活躍している。

■ 粘り強い人材を求める

意見交換では、経団連側からの「アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に関して、どういう学生が来ることを期待しているか。特に理系人材という範囲では、どのような能力を持った学生を期待するか」との質問に対し、千葉大学の佐藤智司副学長は「大学として『常により高きものを目指して』という指針があるが、その真意は一足飛びに成果を求めるものではない。結果的にみると粘り強く勉強したり、実験したりする学生が成果を出している。千葉大学としては、高校時代に1つの分野だけでなく、幅広く勉強をし、あらゆる物事に対して粘り強く対応できる生徒にぜひ入学してもらいたい。他方、そういった資質を持つ生徒を入試でどう選抜するかが課題であり、入試改革の一環として模索している」と答えた。

■ 夢は研究者

意見交換終了後、さまざまな高大接続プログラムに参加した経験を持つ学生を交えて施設見学や昼食懇談会を行った。高校時代に「次世代才能スキップアップ」プログラムに参加した大学生は「自分の通っていた高校では設備・施設が不足しており、やりたい生物実験がまったくできなかった。千葉大学では教授や研究生からアドバイスを受けながら充実した実験をすることができ、とても感謝している。将来は生物学的研究を医療分野につなげる研究者になりたい」と思いを語った。

【教育・スポーツ推進本部】

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