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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月6日 No.3311 バーニー駐日カナダ大使との懇談会を開催 -カナダ委員会

説明するバーニー大使

経団連は3月23日、カナダ委員会(村瀬治男委員長、土橋昭夫委員長)を開催し、イアン・バーニー駐日カナダ大使から、国際情勢の変化とカナダの外交・通商政策への影響および日加関係の展望について説明を聞くとともに懇談した。バーニー大使の説明の概要は次のとおり。

■ 米国新政権との関係

カナダにとって目下の最優先事項は、隣国であり最大の貿易相手国である米国の新政権との関係構築である。日本と同様、カナダもトルドー首相をはじめ連邦政府、州政府のあらゆるレベルにおいて米国新政権との関係構築に努めるとともに、さまざまな機会を通じて、カナダとの貿易が米国の繁栄にいかに寄与しているかを訴えている。

トランプ政権はNAFTAの「再交渉」を真剣に考えているが、主にメキシコとの貿易不均衡を懸念しており、カナダに対してはわずかな修正だけで済むと表明している。今年末に向けて再交渉の舞台が整うものとみているが、再交渉のやり方やその範囲、交渉期間等に対する米側の考えはまだ明らかになっていない。25年前に発効したNAFTAをビジネスの実態などにあわせて見直すこと自体は当然のことであり、実際にこれまでも何度か見直しが行われてきた。しかし、通商交渉は一方の当事者だけで行えるものではなく、目的や目標が共有されなければうまくいかないと考える。

先日の日米首脳会談で、麻生副総理とペンス副大統領による「日米経済対話」の立ち上げが合意されたが、同対話はカナダを含め他の国にも影響を及ぼすものと考えており、注目している。

■ カナダの通商戦略

カナダは、各国との通商機会の拡大を通じて市場の多様化を図る努力を今後も続けていく。すでに世界のさまざまな国と自由貿易協定(FTA)を締結しており、今後もその相手国を拡大していく。昨年10月に署名を終えた欧州連合(EU)との包括的経済貿易協定(CETA)は、カナダがこれまで締結したFTAのなかでも最も包括的かつ野心的なもので、あらゆる分野を網羅している。現在、EU各国で批准のプロセスが進んでいるところであり、カナダ議会での承認手続きが終われば、この晩春にも暫定発効する見込みである。

アジア諸国とは、すでに韓国とのFTAが発効しており、日加経済連携協定(EPA)がこれに続くことを期待している。ASEAN諸国やインド、中国とのFTA締結に向けても、新たなイニシアティブを立ち上げており、特に中国については、交渉開始に向けた模索的なディスカッションが始まっている。カナダは今後も、自由貿易と開かれた市場の希求にコミットし続ける。

■ 日加関係の今後の拡大に向けて

日加関係は全般的に良好であるが、それゆえに両国の交流や新たな協力の機会になかなか目が向かなくなっているように思える。両国間の貿易もまだまだ高度化や拡大の余地がある。両国政府の努力はもちろん必要だが、貿易や投資の拡大については民間企業のさらなる協力も求めたい。

また、カナダは現在中断している日加EPA交渉の再開が必要と考えている。日加EPAが実現することで、GDPの押し上げ効果や貿易拡大が期待されるのはもちろん、自由貿易と開かれた市場の構築に両国がリーダーシップを発揮していることを世界に示すことができる。経団連にはぜひ、日加EPA交渉再開の声を上げ、日本政府に対する働きかけを行ってほしい。

【国際経済本部】

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