経団連は4月24日、社会保障委員会年金改革部会(牧原晋部会長)を開催し、厚生労働省年金局の青山桂子企業年金・個人年金課長と山本進基金数理室長から、確定拠出年金(DC)法の改正を受けた政省令事項に関する検討状況を中心に、企業年金制度をめぐる最近の動向について聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 専門委員会の主な検討事項
政省令の改正については、社会保障審議会企業年金部会のもとに設置された「確定拠出年金の運用に関する専門委員会」で、運用商品選択や運用商品を選択しない者への支援に向けて、運用商品提供数の上限、指定運用方法(いわゆるデフォルト商品)の選定基準等の検討を行っている。
■ 運用商品選択への支援
改正DC法では加入者が運用商品を選定しやすくするため、政令で具体的な運用商品提供数の上限を定めることとされている。上限数の検討に資するため、加入者行動について調査したところ、運用商品提供数が36本以上になった場合、運用の指図を行わない者(不指図者)の割合が急増していることがわかった。
また、運用商品提供数の数え方についても、満期の異なる定期預金やバランス型投資信託等パッケージで提示されるものは、まとめて1本と数えるという意見があったが、加入者への情報提供や除外の方法について整理が必要と考えられる。他方、ターゲットイヤー型のように加入者が選ぶべき運用商品が決めやすいものについては、まとめて1本として扱うことができるのではないかなどの議論があった。
なお、上限の設定にあわせて、運用商品の提示の際に、カテゴライズして示すなどの工夫も大事だとの意見もあった。
■ 運用商品を選択しない者への支援
DCは本来、加入者自身で運用商品を選択し、運用を行うことが基本である。選択しない加入者は、適切な手続きを経て指定運用方法にて運用を継続することになる。
改正DC法では、指定運用方法は「長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのもの」とされており、その立法趣旨は、運用商品の内容ではなく、指定運用方法が目指す目的を定めたものである。
この法律の規定は、長期的な観点でインフレリスク等、さまざまなリスクに備えること、老後に向けた所得確保のため一定の収益の確保が期待されること等の要素を定めており、この考え方を踏まえて省令で定める基準を考えていくこととなると考えられる。
運用の指図をしない者への継続的な対応については、指定運用方法の適用後であっても、加入者が自ら運用指図が行えるよう、運用管理機関や事業主から、投資教育など積極的な働きかけを行うことが重要である。
◇◇◇
このほか、厚生労働省と企業年金連合会によるスチュワードシップ検討会の報告書についても説明を受けた。
【経済政策本部】