Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年5月25日 No.3316  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は5月22日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

まず、日本の教育への公的支出について言及。教育投資の拡大は未来への投資であり、社会全体で考えることに違和感はないとした。その財源について、教育国債は将来世帯への負担の先送りであり、子ども保険は世代間と世代内の公平性や使途の問題などから、慎重な検討が必要との認識を示した。そのうえで、教育財源は税で賄うべきとの経団連の考え方を説明。今後の議論が重要と述べた。

2020年PB黒字化については、経団連会長・財政審議会会長・経済財政諮問会議民間議員の立場から、旗を降ろすべきではないと強調。経済成長による税収増・歳入拡大と歳出削減が重要と指摘した。PB黒字化は至上命題であり、GDP比債務残高などの新目標を加えるべきでなく、また19年10月の消費税率引き上げは必ず実現すべきだと述べた。地方財政改革も重要であり、巨額の基金残高について地方自治体が説明責任を果たさなければ、地方交付税による財政移転に納税者の納得は得られないと述べた。

現在、政府で検討中の「キッズウイーク」について、昨年3月の官民対話での提案内容に沿ったもので歓迎すると発言。政府に制度設計と実行を要望した。観光振興のカギは長期休暇の取得や休暇の分散化であり、学校休日の弾力的運用は家族での長期休暇取得を可能にすると説明。経済界としても年休取得率の向上のため、年3日程度の追加的な年休の取得などを呼びかけていくとした。

またTPP署名11カ国の閣僚会合の共同声明で、協定の早期発効に向けたコミットメントが明確に確認されたことに歓迎の意を表した。声明には、TPPの戦略的・経済的意義の再確認、米国参加を促進する方策を含む今後の選択肢評価のプロセス開始等が盛り込まれ、今後、日本政府が力強いリーダーシップを発揮するよう期待を示した。日米FTAについては、高水準を達成したTPPの成果を踏まえ交渉が行われれば、将来TPPとの融合の可能性もあると指摘。最終的に米国を含む12カ国でのTPP実現が望ましいものの、まずはTPP11をしっかり進めるよう求めた。

さらに自ら参加した、北京での「一帯一路国際協力サミットフォーラム」に言及。参加国により温度差はあるものの、日本政府を含め、全体として積極的な姿勢が打ち出された画期的な会合であったと総括した。二国間関係では、日中国交正常化45周年、日中平和友好条約締結40周年にあたり、今年から2年間、多様な事業を実施するとした。経済分野では、6年ぶり開催の日中グリーンエキスポで日本の環境技術を紹介するほか、日中企業家及び元政府高官対話など交流事業を重層的に行い、日中関係の強化に貢献していきたいと抱負を述べた。

【広報本部】