経団連は5月23日、東京・大手町の経団連会館で、フアン・カルロス・ベイカー・メキシコ経済省貿易担当副大臣を来賓に迎え、国際協力銀行(JBIC)の協力のもと駐日メキシコ大使館、メキシコ経済省とともに、メキシコ経済セミナーを開催、65名が出席した。
冒頭あいさつしたカルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使は、日本企業は先行きが不透明な状況下においてもメキシコへの投資を続け、最新の進出社数が1111社に達したことに感謝の意を示すとともに、メキシコがアジア太平洋の国々との関係を強化するなかでも、日本が最も重要で信頼できるパートナーであると強調した。
続いて、ベイカー副大臣が、メキシコをめぐる自由貿易協定の現状と先行きについて、次のとおり説明を行った。
■ 北米
北米自由貿易協定(NAFTA)はメキシコ経済の成功要因だったとしつつも、1994年の協定締結時には存在しなかったeコマースや中小企業といった新しいトピックがあると指摘。8月下旬をめどに始まるアメリカ、カナダとの交渉を通じて近代化を図るとの意向を明らかにした。
■ 南米
コロンビア・チリ・ペルーとの間で締結している太平洋同盟では、関税の引き下げだけでなく、株式市場等の統合や中小企業支援、労働者の質の向上も推し進めた点が重要だと強調した。また、ポテンシャルの高いアルゼンチンやブラジルとの貿易拡大を目指す方針も示した。
■ アジア太平洋
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からアメリカが離脱することが示されて以降、検討が進められているTPP11は、ベトナムやマレーシア、シンガポールといったアジアの国々を統合するという意味において意義深く、TPPの目標を実現したいとした。さらにスタンダードを引き下げないという条件であれば、タイやフィリピン、韓国といった国々の参加にもオープンであると述べた。
■ 欧州
欧州とは、南北アメリカを除いては初となる貿易協定を2000年に結んでおり、マーケットアクセスが厳しく制限されている農産物等の分野で、アップグレードの余地があるとの見解を示した。
■ 国内改革
憲法改正によってエネルギー、電気通信、運輸等の分野で内外の民間資本の受け入れが可能となったことでは、開放的な通商政策との補完性の高さを背景に、外国直接投資額の拡大や投資の質的向上につながっており、手続きの簡素化等のビジネス環境整備を今後も継続するとの意向を表明した。
【国際協力本部】