経団連は6月8日、東京・大手町の経団連会館で地域経済活性化委員会(古賀信行委員長、小林哲也委員長、浅野邦子委員長)を開催し、北海道東川町の松岡市郎町長、夕張市の鈴木直道市長から、地方経済の活性化に向けた自治体の取り組みについて説明を聞き懇談した。
まず、松岡東川町長は、東川町が「写真の町条例」を1985年に制定し、大切なものを写し、残し、伝えることを目指していると説明。町づくりでは、3つのWa(話・和・輪)に基づくポジティブな考え方のもと、協働・協同・共同という視点に立って、人材(人間)・資源・財源という“3GEN則”を確保しながら取り組んでいるとした。具体的には、「交流・応援人口」の拡大に努めており、自然・人・文化という同町の資源が国内外から人を引き寄せ、新たな消費・産業が興ることで、定住人口の増加へと発展していくとの考えを示した。交流人口に関しては、高校生による写真の全国大会である「写真甲子園」を開催する一方、応援人口については「ひがしかわ株主制度」(ふるさと納税)として、東川町の未来をともにつくる人を募集していると説明し、同町が掲げるECOプロジェクト等への協力を求めた。
続いて、鈴木夕張市長が、人口減少、少子高齢化、財政難という課題を抱えながら財政破綻後のまちづくりに取り組んでいるとした。現時点で高齢化率が50%を超える同市では、2032年に人口が半減することを前提とした「まちづくりマスタープラン」を2012年に策定したと述べた。なかでも、コンパクトシティー化を重要な柱として、その実現に向けて、住民それぞれに粘り強く交渉を重ねて、公営住宅の居住者の集約を果たすとともに、民間賃貸住宅の建設も同時に推進したと説明。また、夕張ならではのCBM(炭層メタンガス)の事業化に挑戦していることにも触れながら、「夕張市は、課題先進地から課題解決先進地を目指す。夕張が日本のモデルとなり、さまざまな課題を解決することで希望へと変えていきたい」と強調した。
<意見交換>
定住人口・交流人口の今後の目標について松岡町長は「定住人口8000人を維持することを目標としている。交流人口については、町内の日本語学校を通じて海外からも人材を受け入れており、何十万という単位で来てもらいたい」と答えた。
また、国と地方の関係に関して、鈴木市長は「地方自治法上、国と地方に上下関係はないが、再生団体であるため計画の変更に際し大臣の同意が必要となる。計画を同意する国とともに持続可能なモデルをつくっていきたい」と述べた。
【産業政策本部】