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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月13日 No.3323 観光庁長官と最近の観光行政をめぐり懇談 -観光委員会

説明する田村観光庁長官

経団連(榊原定征会長)は6月26日、東京・大手町の経団連会館で観光委員会(冨田哲郎委員長、菰田正信委員長)を開催し、観光庁の田村明比古長官から、観光の現状や今後の観光政策の方向性について説明を聞くとともに懇談した。田村長官の講演の概要は次のとおり。

観光の現状について、昨年はアジア、欧州、米国、豪州等、幅広い国・地域から約2404万人の外国人旅行者がわが国を訪れた。2015年の爆発的な伸びからはやや落ち着いたが、今年に入っても訪日外国人旅行者数は依然堅調に伸びており、5カ月間で約1141万人に達している。

他方、訪日外国人の旅行消費額は昨年、過去最高の3兆7476億円を記録したものの、1人当たりの旅行支出は前年と比べて11.5%減少し、15万5896円にとどまっている。観光ビジョンに掲げた「2020年訪日外国人旅行者数4000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円」を達成するには、1人当たりの平均消費額を20万円に伸ばすことが求められるため、わが国により長く滞在してもらう必要がある。

こうした現状を踏まえて、今年5月末に取りまとめた「観光ビジョン実現プログラム2017」における個別施策を推進している。

例えば、古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進では、重要伝統的建造物群保存地区や農山村地域を中心に、2020年までに全国200地域で展開することを目指しており、兵庫県の篠山城下町をはじめ、すでにいくつかの取り組み事例で成果が出ている。さらに今年1月には、意欲ある地域からの要望に対して、国としてもワンパッケージで支援する体制を整備した。古民家を活用した宿泊施設やレストラン等の運営ノウハウや資金面・規制面での課題等に対し、地元関係者と一緒になって取り組んでいきたい。

訪日外国人旅行者の受け入れ環境に関するニーズも年々変化している。16年のアンケート調査によると、「旅行中最も困ったこと」として、施設等のスタッフのコミュニケーション能力不足を指摘する声が最多であった。こうした結果を踏まえ、総務省と連携し、多言語音声翻訳システムのさらなる普及促進に取り組む。

このほか、先ごろ閉会した第193回通常国会で、通訳案内士資格の業務独占規制の廃止、地域通訳案内士の資格制度の創設、ランドオペレーターの登録制度の創設等を内容とする「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」や民泊に関する一定のルールを定めた「住宅宿泊事業法」が成立するなど、必要な法整備も進めている。あわせて、親子のふれあいの充実を通じた働き方・休み方改革の一環として、「キッズウイーク」を今後導入する予定であり、観光需要の平準化をはじめ、観光産業にもプラスに働くことになろう。

【産業政策本部】

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