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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月20日 No.3324 経済産業省から「新たな基準認証の在り方」についての取り組みを聞く -知的財産委員会国際標準化戦略部会

経団連は7月3日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会国際標準化戦略部会(江村克己部会長)を開催し、経済産業省産業技術環境局の萩原崇弘基準認証政策課長から、「新たな基準認証の在り方」についての取り組みを聞き、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

日本ではこれまで、政府の主導により、業界内の合意を前提とした「標準化」活動が行われ、日本工業規格(JIS)は、製造業の生産性向上および国民生活の改善に貢献してきた。一方、欧米では、欧州統合やWTOのTBT協定(注)等を契機として、国際市場を獲得する手段として「標準」が広く活用され、民間主体のグローバルな認証ビジネスも発展した。さらに近年では、国際標準の対象がサービスやマネジメントの分野に拡大し、加えて、IoT(Internet of Things)や第4次産業革命の進展に伴い、製造業のみならず業種横断的な標準化のニーズも生まれている。こうした標準化をめぐる動向を踏まえ、産業構造審議会の下に「基準認証小委員会」を設置し、今年5月から「新たな基準認証の在り方」について検討している。

基準認証小委員会はこれまで2回開催した。7~8月には方向性を固め、パブリックコメントを経て、答申を取りまとめる。答申のなかで、工業標準化法の改正を提言することを検討している。具体的な法改正事項は次の2点を考えている。

(1)JIS対象範囲の拡充

あらゆる産業がサービス化していることを踏まえ、JISの対象範囲をサービス分野に拡充する。具体的な対象範囲は現在検討している。

(2)JIS制定の迅速化

民間機関を活用して、JIS制定を迅速化する。現在は、JIS制定のためには、業界団体等がJISの原案を策定し、主務大臣に申し出て、経済産業省に設置されている日本工業調査会(JISC)に付託して調査審議を行い、主務大臣に答申するというプロセスを踏んでいる。今回の改正で、「指定民間機関」による審議を経た場合には、JISCの審議を省略することを可能とする。これにより従来原案の策定後、JISが公示されるまで1年程度を要していた期間が、最短で3カ月程度に短縮できる。

経済産業省では、工業標準化法の改正以外にも、国際標準化についての取り組みを強化する。例えば、特定の業界団体では対応できないような業種横断分野の標準化については、産業技術総合研究所などの国立研究開発法人をさらに活用して進めていくべきだと考えている。また、今後どのような分野を対象として標準化を進めていくかも重要な課題であり、産業界と連携して検討を行う。こうした残された諸課題については、JISC内の基本政策部会でさらに検討を進める予定である。

(注)WTO/TBT協定=工業製品等の各国の規格が貿易の非関税障壁とならないよう、国際規格(ISO・IEC等)を基礎とした国内規格を開発することを求めるもの

【産業技術本部】

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