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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月7日 No.3329 防衛産業委員会が2017年度総会開催 -防衛装備庁の渡辺長官(当時)が講演

講演する渡辺長官

経団連は7月24日、東京・大手町の経団連会館で防衛産業委員会(宮永俊一委員長)の2017年度総会を開催した。

総会では、16年度の活動報告および決算等、17年度の活動計画および収支予算が報告された。続いて、防衛装備庁の渡辺秀明長官(当時)が「わが国の防衛装備・技術に関する諸施策について」と題して講演を行った。講演の概要は次のとおり。

■ わが国を取り巻く安全保障環境

北朝鮮がICBM級とみられるミサイルを含めた複数回の発射実験を行っているほか、ロシアや中国もステルス戦闘機やAI、サイバー関係など先端技術の開発に注力しているとみられ、わが国の安全保障環境は年を追うごとに厳しさを増している。

■ 技術開発に関する諸施策

16年1月に閣議決定した第5期科学技術基本計画において、安全保障という項目が初めて取り入れられた。同基本計画を踏まえ、今後も国や国民の安全・安心を確保するために必要な技術の研究開発や関連施策について、関係府省・産学官連携のもと、積極的に進めていく。

また、中長期的な研究開発については、防衛装備庁が公表している中長期技術見積もりで示した重視事項を踏まえ、新たな研究開発ビジョンを策定し、体系的に研究開発を進めることで費用対効果の最大化を図っていく。

■ プロジェクト管理

プロジェクト管理については、FMS(有償援助)や国産開発などの区別なく、当初の見積もりからの上昇要因を分析し、上昇の割合が一定の基準を超えるようであれば、場合によっては計画の見直しや中止についても議論していく。

将来戦闘機については、今後のプロジェクト管理の大きなポイントになると考えられ、国内開発や国際共同開発などの幅広い選択肢をもって開発にかかる判断を行っていく。戦闘機の生産・技術基盤の維持・強化や国内のリソースの確保、オールジャパンでの体制構築等は課題として認識している。

■ 防衛装備・技術協力の現状

各国との装備協力の目的として、わが国の安全保障への貢献と、外国の優れた技術の導入という2つの大きな柱がある。海外においては、装備品・技術移転に際して企業が主体となって動くケースが多いが、わが国においては安全保障のための協力体制の構築という側面が強いので、官民一体で連携体制を構築し、政府が主体となって動く必要があると認識している。

■ 防衛生産・技術基盤の強化

わが国の装備品調達に関する傾向として、購入費が減り、整備費が増加傾向にある。購入数量が減ると、購入単価が上がってしまうという悪循環に陥ってしまう。防衛関連企業の防衛産業への依存度は平均約3%と大きくないが、比較的小規模な企業のなかには防衛依存度が50%を超える企業も存在する。購入費や整備費の減少により、企業の撤退などが起こらぬよう、しっかりと対応していく必要がある。

装備品の取得に影響を及ぼすキーサプライヤーを技術力や特許などさまざまな要素をもとに可視化し、保護する取り組みを、経済産業省などと連携し進めていく。

【産業技術本部】

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