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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月7日 No.3329 ユニバーサル社会における旅行のあり方について検討 -生活サービス委員会ユニバーサル社会部会

経団連は7月26日、東京・大手町の経団連会館で生活サービス委員会ユニバーサル社会部会(河本宏子部会長)を開催し、高齢者や障がい者の旅行を支援している日本トラベルヘルパー協会の篠塚恭一理事長から、「旅行とユニバーサルデザイン」について説明を聞いた。あわせて、ジェイティービーから、同社が推進する「ユニバーサルツーリズム」について紹介があった。概要は次のとおり。

■ 旅行とユニバーサルデザイン(篠塚理事長)

(1)介護旅行とは

当協会は、身体や健康に不安があり、自由に外出できない高齢者や障がい者の外出支援を行う専門家である「トラベルヘルパー」の養成等の事業を実施している。トラベルヘルパーは、旅行サービスの提供者と旅行者の間に立ち、道中の介護サービスにあわせて互いの立場を通訳するような役割を果たしている。
トラベルヘルパーの力を借りて旅行を成功させた体験がきっかけになり、要介護度が低くなる人もいる。その結果、行政の財政負担が軽減するという効果もある。

(2)今後の課題

わが国では、近年の法整備により、駅の段差解消やエレベーターの設置といったハード面での環境は充実してきている。しかし、介護業界の人材育成、介護旅行を必要とする人への情報の提供方法や利用の手続きなど、ソフト面については課題が多い。

(3)2020年東京オリンピック・パラリンピックとユニバーサル社会

20年のオリンピック・パラリンピック東京大会では、約1500万人が会場を訪れると予想されている。人口比率と同様、約1割が身体の不自由な高齢者や障がい者などであるとすれば、年齢や障がいの有無にかかわらず、だれもが応援できる環境での大会だったと評価され得るのではないか。
東京オリンピック・パラリンピックが、介護旅行や高齢者・障がい者の外出の促進に向けた大きなきっかけになることを期待している。

(4)介護旅行と経済成長

高齢世代は、介護や病気に対する不安から貯蓄を増やしている。彼らが積極的に外出するようになれば、健康増進に資するとともに、個人消費や雇用機会の拡大にもつながる。

■ ユニバーサルツーリズム(ジェイティービー)

当社が「ユニバーサルツーリズム」の取り組みを始めた背景として、急速に進む少子高齢化とグローバル化がある。旅をするうえで、移動やコミュニケーション、目には見えない不自由など、さまざまな不自由を抱える人が増えるなかで「年齢や性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、お客さまが安心して利用いただける旅行会社」を目指している。

社内では、全社員を対象に障害者差別解消法に関するeラーニングを実施するとともに、さまざまな障がいの特性や基本的な対応を理解するための社員向けガイドブックを配布している。また、接客する社員へのユニバーサルツーリズム実務研修も実施している。

今後もグループ全体でユニバーサルツーリズムを推進して、旅を通じたユニバーサル社会の実現に貢献していきたい。

【産業政策本部】

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