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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月28日 No.3332 ワシントン・リポート<11> -世代を超えた絆の強化

「若い人達の柔軟な発想と行動力に大いに期待したい」――。

ニューヨークにおける国連総会、日米首脳会談などで北朝鮮対応に関心が高まるなか、9月20日から23日まで経団連国際対話プロジェクト訪米団でワシントンを訪問した福田康夫元総理大臣は、ジョージタウン大学での学生との1時間半にわたる意見交換を、こう締めくくった。

ワシントン近郊にあるジョージタウン大学は、1634年に起源を持ち、ジョージ・ワシントンが初代大統領に就任した1789年にイエズス会のジョン・キャロル大司教によって創立された名門私立大学で、ビル・クリントン元大統領はじめ多くのリーダーを輩出している。2015年の安倍首相訪米の際、日本政府は同大学に5億5000万円を寄付し、これにより「現代日本政治・外交研究センター」が発足した。

会合は、同センターの所長も務めるマイケル・グリーン・ジョージタウン大学准教授・戦略国際問題研究所(CSIS)副所長兼日本部長からの質問に答えるかたちで進められ、北朝鮮問題をはじめとする諸課題に関する学生からのさまざまな質問に対して、福田元首相が非常に懇切丁寧にわかりやすく答えている姿が印象的だった。終了後も、参加したアメリカ人学生や世界各地からの留学生が一行を取り囲み、懇談は20分余に及んだ。

今回の訪米団には、福田元首相をはじめ岩沙弘道三井不動産会長、大宮英明三菱重工業会長、早川茂トヨタ自動車副会長、村瀬治男キヤノンマーケティングジャパン会長、大八木成男帝人会長、片野坂真哉ANAホールディングス社長、細見健一三井住友フィナンシャルグループ常務執行役員のほか、藤崎一郎前駐米大使、日下一正元経済産業審議官、西正典元防衛事務次官が参加し、各訪問先でトランプ政権の現状や北朝鮮への対応などについて率直な意見交換が行われた。

また、今回の訪米の主要目的の1つである「経団連―CSIS戦略対話」では、CSIS側からもダッシェル元上院議員、シーファー元駐日大使、アーミテージ元国務副長官、ボルテン元大統領首席補佐官、キャンベル元国務次官補、カトラー元USTR次席代表代行のほか、ベックApple副社長、バティアGE副社長、ゴードン・ウィン開発社長、ケネバン・マッキンゼー・シニア・パートナーらそうそうたるメンバーが参加し、両国の政治情勢、経済関係、さらには国際安全保障について非常に率直で実り多い議論が展開された。

北朝鮮の動向、11月に予定されるトランプ大統領来日などに関心と期待が高まるなかで、日米の率直な意見交流がますます重要となっており、今回の訪米は非常に時宜を得たものと考える。福田元首相が提起した「若い人達への期待」という意味では、米国への留学生数が中国からの33万人、韓国からの6万人に比べ、日本からは2万人と圧倒的に少なく、日本の若者がもっとたくさん海外に出て、世界中の若者と政治、経済、安全保障などの問題について熱く語り合うことが今こそ重要になっていると痛感した。

(米国事務所長 山越厚志)

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