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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月2日 No.3337 トランプ政権下の米中経済関係について聞く -ブルッキングス研究所のダラー上級研究員から/経済外交委員会企画部会

説明するダラー上級研究員

経団連は10月20日、東京・大手町の経団連会館で経済外交委員会企画部会(清水祥之企画部会長)を開催し、ブルッキングス研究所のデビッド・ダラー上級研究員から、トランプ・習近平両政権下の米中経済関係の展望や、アジア太平洋地域でビジネスを展開する日本企業への影響等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 中国の政治経済情勢

10月18日から開催されている中国共産党第19回全国代表大会には、今後の中国の方向性を見定めるうえで多くの示唆がある。中国経済は堅調に成長しているが、対GDP比債務の上昇が懸念されるなか、周小川人民銀行総裁は、近く「ミンスキーモーメント」(経済に潜むリスクが急に発現することによって、資産価格が急落し、大規模な債務不履行が発生する瞬間のこと)が到来するのではないかと警鐘を鳴らしている。党大会初日の習主席の演説からも、暴落リスクを軽減するため、成長を鈍化させることもやむなしとの思惑がうかがえる。

外資に対する開放は、製造業については進んでいるが、金融や電気通信、IT等のサービス分野では進んでいない。米国が強みを持つこれらの分野は、貿易摩擦の一因となっている。今後、投資銀行や保険など一部の分野が開放されるか注視していく必要があるが、新政権の経済政策が判明するには、数カ月を要すると思われる。

■ トランプ政権の通商政策

トランプ大統領は就任以降、TPP離脱やNAFTA再交渉、米韓FTA見直しなど、通商政策の修正を進めている。4月にフロリダでトランプ大統領と習主席が会談し、米中包括経済対話が立ち上げられたが、7月に行われた対話は小粒の合意ばかりで、惨憺たる結果であった。

11月のトランプ大統領訪中に際して、注目すべきは、米国が中国の知的財産権侵害等について実施している通商法301条に基づく調査の結果である。中国が産業政策的な介入を行えば、米国は異を唱えざるを得ない。トランプ政権が、地道に小粒の交渉を積み重ねていくのか、あるいは保護主義的に高関税を課すという大胆な方策を採るのか、2018年初頭には趨勢が判明しよう。

■ 日本やアジア太平洋地域に及ぼす影響と示唆

こうしたなか、日本は難しい立場に置かれている。中国の台頭によりチャンスが増える一方、中国が今後、「一帯一路」やAIIB(アジアインフラ投資銀行)等を通じて、国際的規範と相反する慣行を続けていくのかを見定める必要がある。

他方、米国は日米FTAに関心を示しているが、日本は慎重であるべきだ。NAFTAや米韓FTAの再交渉では、相手国に困難な条件を突き付けていることから、交渉の行方を注視しながら適宜対応すべきである。

【国際経済本部】

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