経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会(豊田章男委員長、長榮周作委員長)では、企業経営者が各地を訪れアスリートやアスリートをサポートするスタッフたちと交流する活動を展開している。
パラリンピック銀メダリストを支える力/豊田委員長が「チーム道下」を訪問
10月28日、豊田委員長が福岡市を訪れ、リオデジャネイロパラリンピック視覚障がい女子マラソン銀メダリストの道下美里選手(三井住友海上火災保険)と、その走りを支えた「ガイドランナー」の堀内規生氏、青山由佳氏を訪問した。
道下選手は中学生のころに右目を、成人後に左目を失明。26歳から盲学校に通うとともにマラソンを始め、現在は、10人ほどのガイドランナー仲間と「チーム道下」を結成し、福岡市内の大濠公園を拠点に練習に取り組んでいる。
真っ暗な世界で恐怖と闘いながら走る道下選手。ガイドランナーは、彼女の目となり、「きずな」と呼ばれるロープを選手とともに持ちながら伴走し、レースのペースメーク等の重要な役目を担う。選手本人と同等、またはそれ以上の身体能力が必要とされるが、パラリンピック大会ではレース中に複数人が交代して伴走すると、ガイドランナーは表彰されない。
今回、「リオ大会で感動と笑顔をくれたガイドランナーに、なんとか感謝と敬意の気持ちを伝えたい」との思いから、訪問に先立ち、オリジナルの木製メダルと楯を用意した(ともにトヨタ自動車の技能者が製作)。
当日、道下選手からは「たくさんの人たちに競技の魅力を伝えてほしい」と、パラリンピアンとしての思いを聞いた。豊田委員長は、自らも伴走体験を通じて競技への理解を深めるなかで、「選手とガイドランナーは、仲間との絆・信頼が何より大切だと感じた」と語った。そしてサプライズとして、堀内氏・青山氏にメダルと楯を贈り、これからも経済界として応援していく思いを伝えた。
長榮委員長が国内最大の障がい者スポーツの祭典「第17回全国障害者スポーツ大会~愛顔(えがお)つなぐえひめ大会」を訪問
また同日、長榮委員長が国内最大の障がい者スポーツの祭典である全国障害者スポーツ大会を訪問。開会式へ出席後、出場選手への激励と競技観戦、会場の障がい者対応設備の視察を行った。
全国障害者スポーツ大会は、障がいのある人の社会参画の推進を目的として国民体育大会とともに毎年開催されている。今年は愛媛県で開催され、全国から都道府県・指定都市選手団5500人が集まり、個人競技6、団体競技7の合計13競技およびオープン競技が実施された。
長榮委員長は、開会式での「愛のくに愛媛“愛顔(えがお)の物語”」と題した県民1400人による歓迎演技など、愛媛の魅力あふれるプログラムを観覧した後、水泳やバレーボール、卓球を観戦した。聴覚障がいがある選手へは手話ボランティアの支援も得ながら激励、選手からは「ベストを尽くします」と力強いコメントがあった。
また、全国障害者スポーツ大会ならではの競技であるサウンドテーブルテニスを体験したほか、障がいのある観客への試合情報を伝達する情報保障席を視察。聴覚障がいのある人が場内放送を補聴器で聞き取りやすくするための磁気誘導ループや、試合状況をリアルタイムで伝達する多くの手話・筆談ボランティアなど、ハードとソフトのバリアフリー対応の状況を確認した。
今回の訪問では、障がいのある人々が活き活きと活動する姿を通じてスポーツの力をあらためて実感するとともに、バリアフリー設備と、運営、手話、医療・救護など多様で質の高いボランティアスタッフの重要性を再認識する機会となった。
愛媛県は「スポーツ立県の実現」を掲げている。今大会では県内の多くの学生が応援団やボランティアスタッフとして大会に参画した。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でも、東京だけでなく地域も含めた日本全体で、世界各国から日本に訪れるすべての人を歓迎することが大切であると再確認した。
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経団連では、今後もこうした活動を続けることでスポーツへの理解を深め、各競技の発展や、東京オリンピック・パラリンピック等の盛り上げに貢献していく。
【政治・社会本部】