経団連は10月25日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)を開催し、内閣官房行政改革推進本部事務局の白岩俊次長、池山成俊総括参事官から「最近の行政改革の取り組み」について説明を聞いた。概要は次のとおり。
■ 最近の行政改革の成果
安倍政権は、2013年1月に行政改革推進本部(全閣僚から構成)と行政改革推進会議(関係閣僚と民間有識者から構成)を設置し、政府一体で行政改革に取り組んでいる。主な成果として、(1)行政事業レビューの実施(2)特別会計改革(17会計・51勘定を14会計・34勘定に統廃合)(3)独立行政法人改革(100法人を87法人に統廃合)(4)内閣官房・内閣府のスリム化(内閣官房から内閣府に5事務、内閣府から各省等に9事務を移管)――が挙げられる。
■ 行政事業レビュー
行政事業レビューとは、自律性・透明性・公開性を確保したうえで、国の全事業(約5000事業)を網羅的に点検する取り組みである。各府省は概算要求前に、有効性・効率性・必要性の観点から所管事業の自己点検を行い、「行政事業レビューシート」を作成して事業の執行状況や成果、資金の流れ、点検内容等を全面公開する。
前年度からの新規事業や終了年度を迎えた事業を中心に、約1000事業は外部有識者が点検し、その一部は公開の場で検証している。府省の点検終了後、行政改革推進会議が、各府省の自己点検が十分かどうか公開検証する「秋のレビュー」を実施。「点検のための点検」にとどまることのないよう、点検結果を翌年度の予算要求や事業執行に反映させるよう努めている。
昨年度の「秋のレビュー」では、政権の重要課題である「成長戦略の推進」「女性活躍」「被災地の観光促進」「強い農業」をはじめとする12テーマを取りあげて議論した。その結果に基づき、各府省で、(1)事業内容の改善(2)事業の重複排除(3)事業内容の見直し・適正化――が行われ、概算要求から約1200億円の減額につながった。また、全公益法人等向け基金(176基金)を点検し、2016・17年度で総額2700億円程度を国庫返納する予定となっている。
■ EBPMの推進
山本幸三前行政改革担当大臣の就任直後から、EBPM(Evidence Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)と統計改革の一体的推進に関する検討が進められ、今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」において、「証拠に基づく政策立案(EBPM)と統計の改革を車の両輪として、一体的に推進する」との文言が盛り込まれた。
EBPMを推進するため、各府省に「EBPM推進統括官」を設置するとともに、行政改革推進本部事務局、経済財政諮問会議事務局、総務省行政評価局が各府省においてエビデンスが活用されているかのチェック機能を担うこととなっている。11月に予定されている「秋のレビュー」のなかでもEBPMを試行的に実施することとしている。
【産業政策本部】