Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月16日 No.3339  第44回北陸地方経済懇談会を開催 -「北陸の成長戦略~GDP600兆円経済への道筋」テーマに

あいさつする榊原会長

経団連と北陸経済連合会(北経連、久和進会長)は11月9日、金沢市内で「第44回北陸地方経済懇談会」を開催した。経団連から榊原定征会長はじめ副会長らが、北経連から久和会長はじめ会員約160名が参加。「北陸の成長戦略~GDP600兆円経済への道筋」を基本テーマに懇談した。

懇談会前の昼食懇談会では、山崎光悦金沢大学学長ならびに浅野哲夫北陸先端科学技術大学院大学学長から、産学官連携や人材育成など、大学改革に向けた両大学の取り組みについて説明を聞き、北経連首脳を交え意見交換を行った。

開会あいさつで北経連の久和会長は、北経連では「第四次中期アクションプラン」のもと、北陸の目指す方向を「地方創生のモデル地域」と定め活動していると説明。具体的な取り組みとして、北陸新幹線の早期全線開業実現に向けた関西との連携、広域観光推進・強化に向けた「ゴールデンループ」(太平洋側のゴールデンルートと北陸三県を通る観光ルートを結んで環状にした観光ルート)の提唱、ライフサイエンス分野と高機能新素材関連産業の拠点形成促進、「地域経済活性化に向けた連携協定」による経団連との連携などに言及した。

続いてあいさつした経団連の榊原会長は、GDP600兆円経済に向けた成長戦略の柱は「官民戦略プロジェクト10」であり、なかでも、Society 5.0(超スマート社会)の実現が経団連の最優先課題であると強調。あわせて、この未来社会が、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成した社会であると説明した。また、経団連の重要課題として、社会保障改革をはじめとする構造改革の推進や、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けた各国との経済外交の推進についても言及した。

経団連の古賀信行副会長は、北経連との連携協定の推進に触れたうえで、地方創生の実現に向けて、各地域の特徴を数値により「見える化」して強みを伸ばすことや、各地域の先進事例を「横展開」し、それを参考に自らの地域の強みを活かした取り組みを行うことの重要性を訴えた。

■ 国土強靱化と交流人口の拡大に不可欠なゴールデンループ

「国土強靱化と交流人口の拡大に不可欠なゴールデンループ」をテーマとする懇談では、北陸新幹線をはじめとする社会基盤整備と広域観光推進に関する北経連からの問題提起に対し、経団連から、(1)北陸新幹線の大阪延伸によって、北陸が首都圏と関西圏の重要な結節点となり、産業・観光拠点としてわが国経済における重要性が一層高まると期待(國部毅副会長)(2)観光振興に向けては、DMO(観光地域づくりを推進する法人)の主導による広域観光の推進や、働き方・休み方改革などによる国内観光需要の喚起が重要(石塚邦雄副会長)(3)オリンピック・パラリンピック等経済界協議会では、大会の成功とレガシー形成に向け、「日本の良さ・地方の魅力」などのテーマを設定し、各地域との連携を推進する(早川茂副会長)――との発言があった。

■ 地域創生のモデル地域を目指す

「地域創生のモデル地域を目指す」をテーマとする懇談では、新技術・新産業の創出をはじめとする産業振興や国際交流、多様な人材の活躍などによる地域力の向上に関する北経連からの問題提起に対し、経団連から、(1)北陸ライフサイエンスクラスター事業が目指すシステムは、少子高齢化の課題解決に貢献する点でSociety 5.0の目指す社会像と一致しており、今後の成果に期待(山西健一郎副会長)(2)Society 5.0の実現に向けては、産学官連携がうまく行われる「イノベーションエコシステム」の構築が重要であり、その点で北陸はすでに先行している(中西宏明副会長)(3)人手不足に対しては、北陸の魅力発信による若年層の地元就労促進、女性の活躍に向けた環境整備、高度外国人材の活躍など、多様な人材の活躍推進が必要(岡本毅副会長)(4)質の高い自由貿易体制の構築に向けては、積極的な経済外交を展開することが重要であり、経団連としてもアジア各国との交流を積極的に展開していく(小林健副会長)――との発言があった。

【総務本部】