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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月23日 No.3340 新たな高付加価値産業の創出に向けて克服すべき課題を聞く -産業競争力強化委員会

経団連は10月31日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会(進藤孝生委員長、岡藤正広委員長)を開催し、経済産業省の糟谷敏秀経済産業政策局長から「新たな高付加価値産業の創出に向けて」をテーマに講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 第4次産業革命による産業構造の転換

第4次産業革命では「データの利活用」が付加価値の源泉となるが、第1幕のバーチャルデータでは海外企業にプラットフォームを支配されてしまった。しかし、第2幕のリアルデータに関しては、日本がプラットフォームを獲得できる可能性がある。各企業が協調できる領域を峻別し、企業の枠を超えてデータを共有するプラットフォームの形成が重要である。そのようにして生み出された技術の社会実装が進むにつれ、業種の壁が低くなり、業界再編が拡大する可能性が高い。こうしたなか、規制や雇用システム、投資等の面で打破すべき壁がある。

■ 付加価値を生み出せない背景

わが国が付加価値を生み出せていない背景として、無形資産(ソフトウエア等)に対する投資の少なさや、研究開発が生産性向上につながっていないこと等が挙げられる。また、経営資源の配分が非効率であるため、生産性が低迷している可能性もある。実際、日本の低生産性企業の生存率は米国に比べて高くなっている。

■ 高付加価値産業の創出に向けた課題

新たな付加価値を生み出すため、以下の3つの課題を克服する必要がある。

(1)ビジネスモデルの変革

海外企業がビジネスモデルの変革にしのぎを削るなか、製品ライフサイクルが全業種で短縮傾向にある。企業がスピーディーな経営判断を行い、民主導の経済成長を実現するためには規制改革を進めることが不可欠である。そこで、企業単位で規制改革を推進するために導入されていた「グレーゾーン解消制度」と「企業実証特例制度」に加え、プロジェクト単位で規制改革を推進する「日本版レギュラトリー・サンドボックス」の創設により、「まずやってみる」ことを許容する枠組みを整備することとなった。

(2)オープンイノベーションの推進

スピード感をもって付加価値を創出するためには、社外の知見を積極的に活用するオープンイノベーションの推進が不可欠であるが、わが国では現状、技術の6割が自社単独で開発されている。また、事業買収、撤退や縮小は諸外国に比べて低水準にとどまっている。研究開発型ベンチャーを創出するためのエコシステムも未成熟で、ベンチャー・キャピタルの投資額は主要国のなかで低位にとどまる。

今後の取り組みとして、リスクマネーの供給やM&Aの活性化、人材の流動化等を通じ、産学連携のもとでオープンイノベーションを推進することが重要である。

(3)先端IT人材の確保

第4次産業革命を迎え、先端IT人材の需要が増大し、2020年には約4.8万人の人材不足が見込まれる。国内における先端IT人材の育成を強化するとともに高度外国人材の受け入れを拡大することが求められる。そのため、日本型高度外国人グリーンカードの創設や留学生へのキャリア教育の強化等を実施している。

【産業政策本部】

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