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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月18日 No.3346 社会インフラ整備を担う女性の活躍をトップダウンで推進 -「第8回リーダーシップ・メンター・プログラム」/宮本審議員会副議長が講演

経団連は12月19日、女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、東京・大手町の経団連会館で「第8回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。吉田晴乃審議員会副議長・女性の活躍推進委員長をはじめ会員企業各社の女性役員約30名が出席し、宮本洋一審議員会副議長(清水建設会長)をメンターに迎え、講演を聞いた。講演の要旨は次のとおり。

■ 建設業について

建設業は、現代・未来の豊かさを守る社会基盤をつくり、維持し、更新していく役割を担っている。社会基盤の整備により、生活の利便性が向上し、災害時の備えとなる。

建設業の特色の1つは、請負が基本であること。形がない時に契約し、形にして引き渡す。建物は生活を送るためにあり、生活者の安全・安心やニーズを踏まえてつくられねばならない。この“逸品”(当社では「逸品」を目指し「一品」をこう呼ぶ)を引き渡すまで建設会社が責任を持つ。

2つ目は、長年男性社会であり女性の活躍が難しかったこと。かつては3K(キツイ、汚い、危険)と呼ばれたが、女性活躍の取り組みを進め、いまは新3K(希望、休暇、給料)をスローガンとしている。当社では、2008年から女性の総合職採用を本格始動し、昨年は新入社員の4分の1が女性になった。両立支援や男性従業員の意識改革も進めている。

3つ目は、建設業は分類上は非製造業であるが、その本質はものづくり産業であること。当社は、創業当時の“出入り大工”の精神を大切にし、一貫したアフターサービスといった顧客からの信頼を基盤としている。

■ 経営者として取り組んできたこと

当社は、道徳と商売の合一を旨とする澁澤栄一の言葉「論語と算盤」を経営の基本理念に据えてきた。そして、新しいコーポレートメッセージとして「子どもたちに誇れるしごとを。」を掲げている。今日よい仕事をして、将来しっかり評価されるようなものをつくっていこう、ということである。そのなかで、ものづくりの原点に回帰し、机上だけでなく現場に出る時間を増やす「ときづくり」運動を進めている。また、ものづくりを核とした未来への挑戦として、先端技術による未来都市や海洋資源の活用をはじめとする新事業にも取り組んでいる。

■ リーダーとして

建設業は「人財」産業であり、リーダーは従業員とその家族を守らなければならない。一人として不要な「人財」はいない。従業員が働く意欲を持つことが一番大切で、その環境づくりが経営者の仕事である。従業員との対話も意識し、社長懇話会では、全支店を回って幅広い年代の従業員と対話している。その際に聞いた女性の声から、子どもの看護休暇を拡充するなどしており、従業員のニーズに沿った制度整備も必要である。

トップにはバックアップはいない。すべての責任を負っており、使命と覚悟が必要となる。一方で、リーダー一人ではすべてのことはできない。任せながらも、任せっぱなしにはしないということが重要である。

いまや、企業は社会と共生していく時代である。社会の一員として経済の活性化に寄与しながら、社会的貢献を行っていく必要がある。

【政治・社会本部】

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