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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月1日 No.3348 連合との懇談会を開催 -今年の春季労使交渉における諸課題について意見を交換

榊原会長

神津連合会長

経団連(榊原定征会長)は1月23日、東京・大手町の経団連会館で連合(神津里季生会長)との懇談会を開催し、今年の春季労使交渉をめぐる諸課題をテーマに、賃金引き上げや働き方改革のあり方などについて意見交換を行った。

冒頭あいさつで榊原会長は、5年間のアベノミクスにより、日本経済は回復軌道を着実にたどっているとの認識を示すとともに、「今年こそデフレ脱却と経済再生を果たし、GDP600兆円経済を実現したい」と述べた。

そのための課題として、成長戦略の推進を挙げ、その柱である「Society 5.0」の実現に向けて、官民挙げた取り組みが重要であることを強調した。また、構造改革の推進も課題であるとして、政府に対して、(1)規制緩和の推進 (2)社会保障制度改革と財政健全化――を働きかけていくと語った。

さらに榊原会長は、経済界としても、積極経営にギアをチェンジして取り組んでいくとの意向を示すとともに、今年の春季労使交渉は例年にも増して重要であるとして、賃金引き上げのモメンタムの継続に向けて、3%の社会的期待を意識しながら、より踏み込んだ対応を呼びかけていることを説明した。

一方、連合の神津会長は、労働条件に限らず多岐にわたる問題意識について討論したいと述べた。そのうえで、連合が「底上げ」の旗を振り続けるなかで、中小企業における大手追従・大手準拠からの構造転換をさらに進め、賃金引き上げの流れを継続・定着させるべく、社会全体に広げていくことの重要性を強調した。

続いて、連合側が「2018春季生活闘争方針」について、経団連側が「2018年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」に基づき、経営側の基本スタンスを説明した後、意見交換を行った。

意見交換では、主に処遇改善と働き方改革の推進に議論が集中した。

賃金引き上げをはじめとした処遇改善については、連合側から、「大手企業と中小企業との賃金格差の是正は大きな課題であり、中小企業の賃金引き上げを加速することが景気浮揚につながる」との見解が示された。また、生産性向上に伴う社員への処遇改善については、労働の質的向上の観点からベアで応えるべきなどの意見が出された。

経団連側からは、デフレからの完全脱却と経済の好循環のさらなる拡大に向けて、賃金引き上げを継続することの重要性に言及する意見が相次いだ。その方法については、賃金体系が各社各様であることから、多様な手法を組み合わせた年収ベースで行っていくべきとの考えが示された。

働き方改革の推進については、連合側から、サプライチェーン全体における商慣行の是正や取引の適正化が不可欠であることのほか、高度プロフェッショナル制度や企画業務型裁量労働制拡大による長時間労働助長への懸念や、女性のさらなる就労環境整備の必要性などに関する発言があった。

経団連側からは、「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を取りまとめ、取り組みを推進していることを紹介。高度プロフェッショナル制度や企画業務型裁量労働制の拡大については、成果に応じた適正評価の観点から、働き方の選択肢を増やすためにも必要であると理解を求める発言があった。

会合の最後にあいさつした連合の神津会長は、職場の実態に即した質の高い議論ができたと総括した。さらに、「政策にかかわる問題も含めて、議論を積み重ねていき、それが日本全体の政策に活かされることで世の中がもっとよくなるのではないか」との期待感を示した。

榊原会長は、双方の基本スタンスが理解できたと述べるとともに、賃金引き上げのモメンタムを継続し、より高い賃金水準を実現したいとの思いは共有できているとの認識を示した。そのうえで、働き方改革について「その実行は労使の責任であり、徹底した議論を尽くすことが、課題解決のうえで大事である」ことを強調し、会合を締めくくった。

【労働政策本部】

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