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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月15日 No.3350 米国の通商・外交政策や中間選挙の見通しを聞く -アメリカ委員会

経団連のアメリカ委員会(石原邦夫委員長、早川茂委員長、村瀬治男委員長)は1月26日、東京・大手町の経団連会館で、外交政策に関するコンサルティング会社、マクラーティ・アソシエイツのネルソン・カニンガム代表、マネージングディレクターのジェームズ・キース大使、シニアアドバイザーのクリストファー・ラフルアー大使(在日米国商工会議所会長)との懇談会を開催した。石原委員長の進行のもと、カニンガム代表らから、米国の通商・外交政策や中間選挙の見通しについて説明を聞くとともに、参加者との間で活発な意見交換が行われた。カニンガム代表らの発言の概要は次のとおり。

■ 通商政策

トランプ大統領は、貿易で米国が不利な扱いを受けていると考え、対外貿易赤字の解消に強い意欲を示している。700億ドルに上る対日貿易赤字の是正がトランプ大統領の優先課題になるまで、時間的猶予はあまりない。

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉については、原産地規則の見直しなど、米国の提案は極端であるため、カナダとメキシコがこれを受け入れることは難しい。米国はNAFTA離脱を本気で考えている。米国経済界がトランプ大統領に圧力をかけるから離脱はないという考えもあるが、トランプ大統領は経済界の声にあまり熱心には耳を傾けないため、その効果はさほど期待できない。

今般、トランプ大統領は環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰の可能性について言及したが、再交渉によって米国にとって有利な内容になる場合には復帰を検討するという趣旨であり、すぐに復帰するとは考えられない。

■ 対アジア政策

2001年に中国がWTOに加盟し、ルールに基づく国際秩序から利益を享受しようとする一方で、中国自身がWTOルールを遵守しないことに米国は不満を抱いている。最近10年間で、米国の対中政策は、「競争を伴う協力」ではなく、「協力を伴う競争」に変化した。米国が、中国を国際ルールに従わせようとするのであれば、TPPは戦略的に優れた手法になる。

トランプ大統領は中国に対して、貿易面で圧力をかけることにより、北朝鮮問題への協力を引き出そうとしたが、うまくいかないことがわかった。今後、朝鮮半島情勢の緊迫や中国との貿易紛争が予想され、ホワイトハウス内が統一されていないなかでは、日本の協力が不可欠である。

安倍首相はトランプ大統領と緊密な関係を築いており、日米関係は良好な状態が続くかもしれない。日米経済対話については、トランプ大統領にとって成果が表れておらず、ホワイトハウスからも日米二国間自由貿易協定の議論に入るべきだという意見が出ている。今後、トランプ大統領が通商問題に関して、日本に対して厳しい態度をとる可能性は十分ある。

■ 中間選挙

今年11月には中間選挙が行われる。通常、中間選挙は政権への反対意見が多数を占め、18年もそうなると思われる。トランプ大統領は、自身の政策および共和党の政治生命をかけて中間選挙を戦うことになる。

【国際経済本部】

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