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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月22日 No.3351 国交省幹部と港湾の中長期政策をめぐり懇談 -運輸委員会

経団連は2月5日、東京・大手町の経団連会館で運輸委員会(武藤光一委員長、大西賢委員長)を開催し、2030年を見据えた港湾に関する中長期政策「PORT2030」の中間取りまとめについて、国土交通省の菊地身智雄港湾局長から説明を聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 立案の経緯

港湾局では、1985年と95年に港湾政策の長期ビジョンを策定してきたが、2000年代に入ると、急速に変化する国際海上輸送を取り巻く情勢へ対応するため、国際コンテナ戦略港湾政策や国際バルク戦略港湾政策など個別施策を進めてきた。しかしながら、近年ではさらに環境変化が進んできたことから、将来のわが国港湾のあり方を検討するため、約20年ぶりに中長期政策を策定することとし、港湾局の若手職員を中心とした勉強会での議論をベースに、2016年4月から有識者を含めて中長期政策の検討を本格的に開始した。昨年12月に中間取りまとめを公表し、今年2月末までパブリックコメントを実施したうえで、今夏の最終取りまとめを目指す。

■ 2030年に日本が直面する課題

長期的には、わが国企業の生産拠点のCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)等へのシフトが進み、東アジアや先発ASEAN諸国の消費市場としての重要性が増していく。すでに中国の「一帯一路」政策をはじめ、アジアやインドで国際海上輸送網を強化する動きが活発化しているなかで、わが国と成長市場とを結ぶ安定した物流サービスの維持・拡大が必要である。加えて、訪日クルーズ旅客数は17年に253万人と過去最高を記録しており、今後、さらなる伸びが期待できる。

他方で、トラック運送業界等における将来の人手不足の解消には、生産性向上が欠かせない。港湾への自働化技術の導入は、わが国では名古屋港のみであるが、海外では世界のコンテナ取り扱い個数上位20港のうち75%が導入済みである。

さらに、船舶へのLNG供給におけるハブとしての地位の確立や低炭素社会への移行を目指しつつ、老朽化が進む既存インフラの管理を含め、自然災害に脆弱な国土でも安心して経済活動を継続できるインフラが求められている。

■ 中長期政策の方向性

これらの課題を踏まえ、「PORT2030」では、列島を世界に開きつなぐ“Connected Port”、新たな価値を創造する空間としての“Premium Port”、第4次産業革命を先導するプラットフォームとしての“Smart Port”という3つの視点から、中長期政策の方向性として8つの柱を掲げている。

具体的には、(1)グローバルバリューチェーンを支える海上輸送網の構築 (2)持続可能で新たな価値を創造する国内物流体系の構築 (3)列島のクルーズアイランド化 (4)ブランド価値を生む空間形成 (5)新たな資源エネルギーの受け入れ・供給等の拠点形成 (6)港湾・物流活動のグリーン化 (7)情報通信技術を活用した港湾のスマート化・強靱化 (8)港湾建設・維持管理技術の変革と海外展開――に取り組むこととしている。

とりわけ、(7)では、将来的にはインフラ整備とパッケージ化することで、海外展開も視野に「AIターミナル(AI、IoT、自働化技術によって世界最高水準の生産性と労働環境を実現したコンテナターミナル)」の形成を目指す。

【産業政策本部】

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