1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年3月22日 No.3355
  5. 提言「Society 5.0時代のヘルスケア」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月22日 No.3355 提言「Society 5.0時代のヘルスケア」を公表 -産学官医と国民の連携により、健康寿命を延ばすヘルスケアを目指して

経団連(榊原定征会長)は、Society 5.0の実現に向けた具体的な行動計画(※)の1つとして、3月20日、提言「Society 5.0時代のヘルスケア」を取りまとめ公表した。提言では、技術的なトレンド、トレンドを踏まえた未来のヘルスケアの姿、そこから生まれる価値といった全体的なコンセプトを示し、その実現に必要なアクションプランを提示している。

■ Society 5.0時代のヘルスケアとは

Society 5.0時代のヘルスケア

超高齢社会を迎えたわが国が、直面する課題をいかに解決するか、世界が注目している。「人中心社会」であるSociety 5.0時代にヘルスケアは、これまで治せなかった病気の治療や予防を行い、国民の健康寿命を延伸し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも寄与する新しい成長モデルになる。

技術的なトレンドとして、ITの活用によって、個人の生理機能から行動まですべてがデータ化され、バイオテクノロジーの進歩により、生命をより精緻に観察し解析可能になる。それらトレンドを活用することで、Society 5.0時代のヘルスケアは、(1)重心が病気の治癒を中心とする「医療」から「未病」段階のケアや予防にシフトし、(2)画一的な治療が個別化されたケアや予防に変わり、(3)医療従事者中心のものから、健康やケアに個人が主体的に関与するものに変わる。その実現は、健康寿命の延伸や、生活習慣病やがんへの対応等のQuality of Lifeの向上とともに、医療費の適正化やヘルスケアの成長産業化といったQuality of Societyの向上をもたらす。

■ 実現に向けたアクションプラン

実現に必要なアクションプランは大きく(1)ライフコースデータ等の収集・連携・活用(2)人体の仕組みの解明(3)それらを活かした新たなヘルスケアサービスの展開(4)それらを支えるヘルスケアエコシステムの構築――に分けられる。

ライフコースデータの収集・連携・活用のためには、ゲノム検査やウェアラブルデバイスによってさまざまなデータを収集、それらをつなぐIDを整備し、活用するためのプラットフォームを構築することが求められる。

人体の仕組みの解明のためには、東北メディカル・メガバンク計画等のゲノムコホート研究を推進するとともに、マイクロバイオーム(人体に生息する微生物叢)やバイオマーカー等の研究が必要である。

それら取り組みは、ヘルスケアの範囲拡大と深化をもたらし、新たなサービス展開を可能にする。その1つが、民間企業や医療機関等の連携によって病気から未病段階のケアや予防までをサポートする総合ヘルスケアサービス、もう1つが、個別化医療や再生医療等を提供する次世代医療である。

そうした新たなヘルスケアサービスの展開を支えるエコシステムの構築のためには、オープンイノベーションの促進、制度のあり方の検討、医師の新たな学びの機会の検討や個人のリテラシー向上等の人材育成、政府の司令塔連携や省庁連携の強化が必要である。

◇◇◇

は先端技術の活用によるメリットが最も存在する領域の1つ。今回の提言を契機として、産学官医、そして国民の間で議論が深まることが期待される。

※ 提言「Society 5.0実現による日本再興」(2017年2月)では、「都市」「地方」「モノ・コト・サービス」「インフラ」「サイバー空間」にかかる行動計画を策定

【産業技術本部】

「2018年3月22日 No.3355」一覧はこちら