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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月19日 No.3359 提言「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」を公表 -2020年代半ばのPB黒字化と社会保障分野のさらなる改革の必要性など

経団連(榊原定征会長)は4月17日、提言「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」を公表した。

わが国財政は、毎年の税収だけでは歳出の主要経費を賄えない状況にあり、政府が掲げてきた2020年度の財政健全化目標の達成も困難である。

政府は、今年夏の骨太方針において新たな財政健全化計画を決定するとしており、経済界の立場から、これまでの政府の取り組みを評価したうえで、今後の枠組みに関する考え方を取りまとめた。

■ 集中改革期間の動向

「骨太方針2015」では、「経済・財政再生計画」の当初3年間(16~18年度)を集中改革期間と位置づけ、「経済・財政一体改革」を集中的に進めている。

このうち、歳出改革は、国の当初予算における歳出の伸びの「目安」(3年間の一般歳出総額の伸びを1.6兆円程度、うち社会保障関係費の伸びを1.5兆円程度)を達成した。

しかし、歳出の伸びの大半を占める社会保障関係費の「目安」を達成するための財源の大宗は、薬価の引き下げ、所得の高い現役世代や大企業の医療・介護保険料の負担増によって確保された。他方、社会保障給付や利用者負担の適正化にかかる進捗は不十分である。

■ 新たな財政健全化目標

国・地方をあわせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化と債務残高対GDP比の安定的引き下げを堅持すべきである。

目標の前提となる今後の経済・財政の見通しは、税収増の見込みが楽観的にならないよう配慮し、「ベースラインケース」を念頭に経済活性化策の効果を適切に織り込み、信頼に足る現実的かつ実効性のある枠組みをつくることが望ましい。

達成時期は、経済成長にも配慮し、過度な財政引き締めを回避しながら、歳出改革を徹底して行い、中間評価年を設けたうえで、20年代半ばにおけるプライマリーバランスの黒字化を目標とすべきである。

■ 収支改善に向けた基本的考え方

これまでのトレンドを上回る成長実現による税収増を目指す一方、収支改善の効果が確実に見込める歳出改革を徹底して行い、歳出の伸びを抑制すべきである。特に、歳出規模の大きい社会保障と地方財政の分野では、より踏み込んだ改革が必要である。

毎年の予算編成において、今後の高齢者の人口動態に配慮しつつ、中間評価年までの間、社会保障の伸びは「目安」以下に抑制し、社会保障以外の歳出の伸びは「目安」の基調を原則維持するなかでメリハリを効かせるべきである。

その後は、「目安」に照らして、改革の進捗状況等を評価し、必要な場合、追加措置を検討すべきである。

■ 25年以降を見据えた社会保障のあり方の検討を

今回提言した財政健全化計画の議論とは別に、特に団塊の世代が75歳以上となる25年以降も見据え、全世代型社会保障の構築に向けて、長期的かつ制度横断的に社会保障の負担と給付のあり方をあらためて考えるべきである。

そのなかで、社会保障の安定財源の確保に向けて、税率10%超への消費増税も有力な選択肢の1つとして国民的な議論を喚起すべきである。

【経済政策本部】

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