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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月19日 No.3359 会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案に対し提言を公表 -「デジタル化とグローバル化に対応した会社法を目指して」

経団連は4月13日、法制審議会の「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(以下「中間試案」)に対する意見として、提言「デジタル化とグローバル化に対応した会社法を目指して」を取りまとめ、法制審議会へ提出した。

同提言は、基本的な考え方として次の2点に基づき取りまとめられている。

第1に、IoTなどの革新的技術が社会に大きな変化を起こしつつあるなか、経済社会の基本的インフラである会社法の分野においても、新たな技術を活用できる体制を積極的に整え、企業運営の効率化・最適化を図っていく必要がある。

第2に、技術革新によるパラダイムシフトに加え、経済のグローバル化が加速するなか、株主との対話の場である株主総会の運営をさらに効率化するとともに、変化に対応するため、一層迅速・大胆な経営判断を可能とする環境の整備が強く求められる。

■ 株主総会資料の電子提供制度

中間試案では、上場会社における株主総会資料の電子提供の義務化が提案されている。これについては社会全体や株主総会運営のデジタル化推進の観点から賛成である。また、デジタル化徹底の観点から、株主の総会資料の書面交付請求権について、定款の定めにより排除可能とする必要がある。その他、電子提供の手段としてEDINET(注)の利用を認めるとともに、みなし提供制度は存続すべきである。

■ 濫用的な株主提案権の行使の制限

中間試案では、濫用的な株主提案権の行使を制限する観点から、その数および内容の制限が提案されている。この方向性については賛成であり、濫用的な提案権の行使が株主総会の運営や株主との対話の妨げとなっている現状を踏まえ、それを十分に防止できるよう、提案数の上限を1~3とすることや、300個以上の議決権という提案権の行使要件を削除あるいは引き上げること等を求めている。

■ 取締役等への適切なインセンティブの付与

中間試案では、取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定を代表取締役に再一任する場合には株主総会の決議を得ること、株式報酬、取締役の個人別の報酬の開示、会社補償および役員等賠償責任保険に関する規律の見直しが提案されている。しかし、実務上このような規定を設ける必要性はなく、かえって取締役等の果断な経営判断を阻害することになりかねないため、規定の見直しは必要ないとしている。

■ その他

中間試案の代表取締役の住所が記載された登記事項証明書の交付請求権者を利害関係人に限定するとの提案について、プライバシー保護の観点から賛成している。また、中間試案に記載はないものの、株主代表訴訟の制限、業務執行取締役が責任限定契約を締結できるようにすること等も求めている。

(注)EDINET=金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム

【経済基盤本部】

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