1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年5月31日 No.3363
  5. フェヘイラ・ブラジル外相との懇談会を開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年5月31日 No.3363 フェヘイラ・ブラジル外相との懇談会を開催 -日本ブラジル経済委員会

フェヘイラ外相(左)と飯島委員長

経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は5月17日、東京・大手町の経団連会館でブラジルのアロイジオ・ヌネス・フェヘイラ外務大臣との懇談会を開催し、近年のブラジルの経済情勢や改革の進展状況、経済連携協定への取り組み等を聞き意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ブラジルの経済情勢

2016年以降ブラジル経済は失業率の上昇や行政の破綻という深刻な危機に陥っていたが、現在ではその経済危機を乗り越え、17年には1%のプラス成長に転じた。今年は3%のプラス成長を見込んでいる。憲法改正による公的支出の上限設定や、労働法改正、国営企業のガバナンス改善等の数々の改革によって、インフレ率と金利の抑制をはじめとする経済指標の好転だけでなく国家と社会の状況の大幅な改善をもたらした。

ブラジル政府は、ブラジルが世界の市場に再参入するためには、開放的な貿易が必要不可欠であると考えており、今後は物品貿易だけではなく、テクノロジー分野での交流やグローバル・サプライチェーンを通じた投資誘致が必要ととらえている。今後は農業に加え、インフラに関する他国とのパートナーシップが今後のブラジル経済を牽引する存在となると考えられ、現在、投資環境の改善に向けて制度改正に取り組んでいる。

■ 経済連携協定の推進に対する期待

メルコスール(南米南部共同市場)はかつてイデオロギー的性格を有していたが、ブラジルのテメル政権、アルゼンチンのマクリ政権の発足を機に、現在では開放的な政策に転換している。現在はメルコスール域内における関税撤廃および政府調達の開放や投資誘致を通じた地域統合を目指しているほか、太平洋同盟(メキシコ・コロンビア・ペルー・チリ)とは19年からの関税撤廃に向けて交渉中である。

自由貿易協定に関しては、メルコスールはカナダとの交渉をすでに開始しており、韓国やシンガポールとも交渉開始に向けて事前協議を進めている。EU・メルコスールFTA交渉が完了した際には、次はEFTA(欧州自由貿易連合)との交渉開始を検討している。

世界市場に大きな存在感を持つ日本抜きで、このような経済連携協定推進の流れを推し進めることはできないと考えている。日本とブラジルの関係は、長きにわたって緊密であると同時に両国経済には補完性がある。ブラジルの民間企業も、経済連携に対する国際的な合意に対応するためには産業競争力の強化が必要であると理解している。

すでに経団連・CNI(ブラジル全国工業連盟)間では連携が進んでおり、7月23、24日に開催される第21回日本ブラジル経済合同委員会は、日メルコスールEPA締結に向かうプロセスに非常に大きな推進力を与える会議であるととらえている。ブラジル政府としては全力を挙げて日メルコスールEPAに取り組む。

【国際協力本部】

「2018年5月31日 No.3363」一覧はこちら