1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年6月21日 No.3366
  5. 提言「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月21日 No.3366 提言「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」を公表 -大学教育の質の向上や大学の再編・統合の推進などを求める

経団連(中西宏明会長)は6月19日、提言「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」を公表した。

人口減少社会の到来による労働力不足の壁を乗り越えるには、質の高い教育を受けた多様な能力を持つ人材と、そうした人材を育成する多様な高等教育機関の存在が不可欠である。また、Society 5.0の実現に必要なイノベーションを生み出すエコシステムの確立には、教育・研究の両面で大学が重要な役割を担っており、大学の競争力強化は必須である。

定員割れによる教育の質の低下や世界大学ランキングにおける順位の低下など、わが国の大学をめぐる状況は悪化しており、大学改革の機運が高まっている。こうしたなかで、提言では、人的・物的資源の有効活用の観点から、今後の大学改革のあり方について、「大学教育の質の向上」「教育・研究力を高めるための大学の連携、再編・統合」「財務基盤・経営改革の推進」の3点に絞って示している。

■ 大学教育の質の向上に向けた改革

大学教育の質の向上に向けては、大学入試改革を含む高大接続の円滑化や3つのポリシー(注)に基づく教学マネジメントの確立による教育の質保証を求めている。また、Society 5.0に向けた新たな科学技術の社会実装には、経済や経営、法律、倫理哲学など、人文社会科学系の知識や専門性が不可欠なことから、文理融合した柔軟な組織やカリキュラムを通じた人文社会科学系の強化を求めるとともに、グローバル化のさらなる推進も重要と指摘している。

さらに、大学の情報開示の拡充や「学修ポートフォリオ」などを活用した学修成果の見える化、ICTの一層の活用も求めている。一方、企業側にも、採用の多様化や学修成果情報の積極活用等が求められると指摘するとともに、「人生100年時代」を見据え、リカレント教育の拡充も求めた。

■ 大学の連携、再編・統合の推進

大学の再編・統合に関するグランド・デザインの策定と地域協議体による具体的実施

18歳人口が大幅に減少するなか、大学の教育・研究力を向上させ、また地方大学の持続可能性を高めるには、その数や規模の適正化が不可避である。そこで、内閣に省庁横断的な会議体を設置して、大学の再編・統合に関するグランド・デザインを策定し、そのうえで、地域の国公私立大学や地方公共団体、産業界が参画する協議体において具体的な進め方を検討し、実施すべきだとしている。

また、国立大学の一大学一法人制度の見直しや国公私の枠を超えた運営法人の認可、経営悪化傾向にある私立大学の合併や撤退を促す仕組みの構築など、再編・統合に向けた制度改正の推進を求めている。

さらに、国立大学の運営交付金の配分のあり方の見直しとそのための評価方法の改善、私立大学への補助金の配分の見直しを通じて、国立・私立ともにより競争的な資金配分を行うよう求めた。

■ 大学の財務基盤・経営改革の推進

民間企業のマネジメント手法などを導入して経営品質を向上させること、産学連携の促進、各種規制緩和などを大いに活用して財務基盤の強化を図ることが必要であると指摘している。

(注)卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)

【SDGs本部】

「2018年6月21日 No.3366」一覧はこちら