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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月28日 No.3367 東京2020大会における持続可能性に配慮した調達 -東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から聞く/企業行動・CSR委員会企画部会

経団連の企業行動・CSR委員会企画部会(小口正範部会長、森川典子部会長)は6月12日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。持続可能な経済社会の実現に向け、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会総務局持続可能性部の徳弘欣也副部長から大会における持続可能性に配慮した調達について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「持続可能性」とオリンピック・パラリンピック

持続可能性とは、資源管理・気候変動などの「環境」、労働問題・人権侵害などの「社会」、貧困・格差・生産・消費などの「経済」の3要素について調和的な対応を行い、持続的に発展し得る状態を指す。

大会組織委員会は、東京2020大会を持続可能な大会とするため「持続可能性に配慮した運営計画」を策定しており、今年6月11日に第2版を公表した。また、物品・サービス・ライセンスなどすべての調達について持続可能性を確保するため、「持続可能性に配慮した調達コード」(木材、農・畜・水産物、紙、パーム油の調達基準を含む)を策定している。

調達の過程には多くの原材料や労働者が関与しているため、そこに潜む持続可能性に悪影響をもたらすリスクを認識する必要がある。具体的には、原材料採取における生態系破壊、廃棄物の不法投棄、工場等における児童労働、強制労働、労働災害などである。エンブレムやマスコットデザイン等を中心に大会関係の調達は国内外から注目されており、リスクへの対応が求められる。

調達コードは主に3要素で構成される。1つめは基準で、事業者が対処すべき重要項目を列挙している。2つめは担保方法で、事業者の調達コード遵守に向けた取り組みを確認できるよう、チェックリストの提出を求めている。ただ、依然として理解や取り組みが不十分な事業者も多く、説明会や優良事例の収集・展開などが課題である。また、大会開催が近づくにつれ調達案件数が増加し、繁忙が見込まれることから、案件ごとに重視すべき点を見極め、リスクに応じた優先順位づけなど効率的な業務遂行が必要となる。3つめは、調達コードの不遵守に関する苦情・指摘を誰でも申し立てられ、建設的対話を促進して解決を図る通報受付窓口の設置である。通報受付窓口をしっかりと機能させるためにも、海外を含むサプライチェーンへの制度の周知徹底が課題のひとつである。

大会組織委員会は時限的な組織であるが、持続可能性に向けた取り組みを大会限りとせず、レガシーとして将来につなげ社会への浸透・実現を図ることがわれわれの責務と考えている。引き続き推進に向けて取り組みたい。

【SDGs本部】

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