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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年8月30日 No.3374 フォックス英国国際通商相との懇談会を開催 -英国の通商政策ならびに将来の日英関係について聞く

フォックス国際通商相(左)とマデン駐日英国大使

経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、越智仁委員長)は7月31日、東京・大手町の経団連会館で英国のリアム・フォックス国際通商大臣との懇談会を開催した。フォックス大臣から、英国の通商政策ならびに将来の日英関係について説明を聞いたうえで、英国のEU離脱問題も含めて懇談した。

■ 清水部会長あいさつ

会合の冒頭、座長を務めた清水章ヨーロッパ地域委員会企画部会長が、英国政府としてEUとの将来関係について、物品に関しEUと自由貿易地域を形成し、EUと共通のルールブックに基づき通関検査を免除することが提案されている点をめぐり、ビジネスへの影響を限定する趣旨は理解できるものの、英国がEUの関税を代理で徴収する点がEUにより拒否されており、英国の提案がフィージブルであるか、さらなる情報と精査が必要だと指摘した。あわせて、英国としてのノーディールの離脱への対応についても、強い関心と懸念があると表明するとともに、将来の英国と日本の関係を考えるにあたっても、まずは、英国とEUとの関係がどうなるかがある程度はっきりしないことには、現実感を持ちにくいと述べた。

■ フォックス大臣説明

フォックス大臣は、英国が7月12日に公表した、EU離脱後の英国とEUの将来関係についての立場を示す離脱白書について、公平かつ合理的な提案であるとし、欧州委員会が英国の提案を拒否したことに驚きはなく、交渉次第だと述べた。また、EUから英国への貿易黒字は約1000億ポンドに上ることから、英国への市場アクセスを維持することがEUの各加盟国にとっても重要だと指摘した。

英国がCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、TPP11)への参加に関心を表明していることにも触れ、CPTPPに英国が参加すればそのGDPは英国離脱後のEUに匹敵すると指摘し、英国として自由貿易を推進する強い意向を表明した。

また、英国に進出する約1000社の日系企業が約14万人の雇用を創出していることを評価するとともに、昨年8月下旬のメイ首相の来日を機に、日英政府が貿易・投資作業部会において将来のパートナーシップを議論していると紹介した。離脱後に設定を想定する移行期間が2020年末に終了した後の日英関係については、日EU・EPAをベースに野心的な協定を締結したいと述べた。

■ 懇談

出席した委員からは、EU加盟国である英国に欧州の各拠点を統合した経緯を踏まえ、離脱によって英国からEUに対する越境サービスの提供に支障が生じることや、関税・通関手続の発生に加え、手続の遅延による在庫積み上げなど実務への支障を懸念する発言が相次いだ。これに対しフォックス大臣からは、国境での追加の手続や費用が生じないよう、離脱白書で示した方針に基づきEUとの交渉に努める旨の回答があった。

最後に清水部会長は、離脱協定への合意と批准により、離脱後に移行期間を確実に実現することが重要との点を強調した。

【国際経済本部】

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