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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年8月30日 No.3374 「骨太方針2018」について聞く -内閣府の平岩参事官から/経済財政委員会財政改革部会

経団連の経済財政委員会財政改革部会(太田純部会長)は7月31日、内閣府の平岩勝参事官から、6月15日に閣議決定された「骨太方針2018」(経済財政運営と改革の基本方針2018)について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 人口減少と少子高齢化のもとでの全世代型社会保障制度の確立

今後わが国の人口減少が見込まれるなかで、65歳以上の人口は2040年ごろまで増加を続ける見通しである。それまでの間、社会保障制度は、現役世代1人当たりの負担の増加、そして人手不足という困難な課題に直面する。こうした背景のもと、「骨太方針2018」では全世代型社会保障制度の確立が課題の1つとして掲げられている。

その実現に向けて、少子化の克服、人生100年時代のもとでの生涯現役を支える環境整備、そして給付と負担の世代間と世代内のバランスの確保が求められる。

■ 将来推計を踏まえた社会保障改革の方向性

社会保障改革の方向性については、すべての団塊世代が後期高齢者となる25年度以降の将来像を踏まえて検討する必要がある。

今年5月の推計によれば、社会保障給付費の対GDP比は25年度から40年度にかけて、約22%から24%に達すると見込まれる。このうち医療と介護は、名目GDPの伸び(1.22倍)を上回り増加すると推計されている。

また、医療福祉分野において必要とされる就業者数は、40年度に約1065万人となり、就業者数全体に占める比率は18.8%に達する見通しである。25年以降、現役世代が減少するなか、必要な人員を確保できるかが課題である。

これらを踏まえると、政策の柱としては、予防・健康づくりの推進を通じた健康寿命の延伸、そしてロボット、IoT、AI、センサーの活用等による医療・介護サービスの生産性向上を据えることが重要となる。「骨太方針2018」では、健康寿命の延伸に関する施策として、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防、介護予防・フレイル対策の一体的実施等を掲げている。企業には、保険者との連携を通じた健康経営のさらなる促進が期待される。

■ 25年度のPB黒字化に向けて―「基盤強化期間」の設定

「骨太方針2018」では、25年度の国・地方のPB(プライマリーバランス)の黒字化目標が掲げられた。その達成に向けて、団塊世代が後期高齢者となる前の19~21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、最大の歳出分野である社会保障改革を軸に取り組みを進めていく。当該期間における社会保障関係費の伸びについて具体的な数値は設定されていないが、集中改革期間(16~18年度)に続き、実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めるという考え方で、引き続き改革に取り組んでいく。

「基盤強化期間」の中間年にあたる20年度には、給付と負担のあり方を含め社会保障について総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめることとしている。後期高齢者の窓口負担のあり方については、国民の理解と納得を得ながら検討を進めていくことが必要である。

【経済政策本部】

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