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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月11日 No.3380 森本環境事務次官から環境政策にかかる諸課題を聞く -環境安全委員会・経団連自然保護協議会

説明する森本環境事務次官

今年度、気候変動対策や廃棄物・リサイクル対策、生物多様性保全といった環境政策の諸分野において、国内外で重要な動きがある。

そこで、経団連の環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長)と経団連自然保護協議会(二宮雅也会長)は9月28日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、環境省の森本英香事務次官から、環境政策にかかる諸課題について説明を聞いた。森本次官の説明の概要は次のとおり。

■ 環境政策にかかる環境省の基本スタンス

環境省は、環境政策を設計するにあたり、「環境と経済の好循環」「環境と経済・社会問題の同時解決」「生活の質を向上させる新しい成長」といったコンセプトを前面に打ち出している。環境政策はリスク管理であるが、それを「コスト」ではなく「チャンス」と認識し、諸課題に取り組んでいく必要がある。

■ 気候変動対策

昨今、世界で異常気象が相次いでおり、気候変動は、世界経済フォーラムにおいても、主要なグローバルリスクと認識されている。2015年の「パリ協定」採択以降、脱炭素化は世界的潮流となっており、主要各国は、50年に向けた野心的な目標を打ち出している。日本においても、今年8月、内閣総理大臣のもと、「パリ協定長期成長戦略懇談会」が設置され、来年6月のG20に先立つ長期戦略の策定に向けた検討が行われている。

脱炭素化は、「Society 5.0」が目指す「経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」というコンセプトと、表裏一体にあると考えている。長期大幅削減に向け、民間活力を最大限に活かしたイノベーションが創出されるよう、環境省としても努力したい。

■ 海洋プラスチック問題

昨今、海洋プラスチック問題は、国際的に大きな問題として取り上げられている。プラスチックそのものが問題なのではなく、プラスチックごみの海洋流出が、問題の出発点である。

プラスチックごみの各国寄与率は、途上国が最も高く、先進国だけでなく、途上国も含めた世界全体で議論すべき問題である。来年のG20議長国である日本としては、G20までに「プラスチック資源循環戦略」を策定する。わが国の3R(Reduce, Reuse, Recycle)の成果を世界に発信するなど、海洋プラスチック問題を大きな「チャンス」ととらえて、積極的に取り組んでいきたい。

■ 生物多様性の保全

生物多様性は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)のベースとなるものであり、20年には、10年の生物多様性条約締約国会議(COP10)で採択された愛知目標の見直し(「ポスト愛知目標」の策定)が予定されている。

生物多様性に取り組むことは、事業者にとって、リスクの回避・低減だけでなく、新たな市場の開拓等のチャンスを獲得することにもつながるため、経営戦略面でのメリットは大きい。「国連生物多様性の10年日本委員会」(委員長=中西宏明経団連会長)を中心に、事業者やNGOといった幅広いステークホルダーと連携しつつ、生物多様性の保全に取り組んでいきたい。

◇◇◇

森本次官との意見交換の終了後、「経団連生物多様性宣言・行動指針」の改定(案)について審議が行われ、了承された。

【環境エネルギー本部】

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