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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月18日 No.3381 提言「Society 5.0時代の物流―先端技術による変革とさらなる国際化への挑戦」を取りまとめ -2030年の物流の将来像とその実現に向けた具体的施策を提示

経団連(中西宏明会長)は、Society 5.0の実現を最重要課題として位置づけ、各分野における必要な施策を推進することとしている。この一環として10月16日、Society 5.0時代の物流をテーマに提言「Society 5.0時代の物流―先端技術による変革とさらなる国際化への挑戦」を取りまとめ、公表した。

物流は、Society 5.0の先端技術と親和性が高く、データ利活用による変革が最も期待される産業の1つ。現在、eコマースの急拡大、サプライチェーンのグローバル化、担い手の高齢化や人手不足等の課題に直面するなか、重要な社会インフラである物流において、優れた先端技術を積極的に導入し、サプライチェーン全体の効率化・高度化を図る視点が欠かせない。

提言では、2030年に向けて、技術革新により変貌する物流の姿を描出。RFID等で物流を可視化し、情報をリアルタイムで共有してサプライチェーン全体を調整・最適化する「つながる物流」、荷主の輸送ニーズと物流事業者のリソースのマッチングなどを通じた「共同する物流」、自動走行車・自動運航船・ロボット等を用いて省人化・省力化を図る「人手を解放する物流」、顧客の潜在的ニーズの発掘等により新たな価値を創出する「創造する物流」、次世代自動車等により環境負荷を低減する「社会に貢献する物流」の5つが実現するとしている。

そのうえで、こうしたSociety 5.0時代の物流に向けた具体的な施策を整理。分野横断的な取り組みとして、民間は物流再設計と企業間連携、ICT投資を適切に進め、政府においては、「総合物流施策大綱」の着実な推進、戦略的なインフラ整備等に注力することが重要と指摘。また、官民共同で、消費者を含む荷主に対する物流の持続可能性確保のための理解・協力の呼びかけ、物流データの取得・流通促進、ルール策定やデータフォーマット標準化等の国際連携強化に取り組むべきとしている。

続いて、分野別の取り組みを整理。まず、調達・生産・物流・販売の情報を関係者で共有する「サプライチェーン統合プラットフォーム」の構築に言及。RFID等のIoT技術の社会実装を加速しながら、事業者間の情報連携と貨物輸送の可視化を図るべきとしている。

次に、物流リソースのシェアリングに向けた施策として、輸送のニーズとリソースを効率的に結びつける共通の「輸送マッチングプラットフォーム」の構築や、輸送機材の規格標準化、共有化・共同利用の推進などを盛り込んでいる。

また、トラックの自動走行・隊列走行に向けた制度・インフラ整備等を主張。さらに、鉄道・港湾・空港のIT化や、船舶の自動運航・IoT化のための研究開発・基準策定に加えて、各輸送モード間の連携強化の重要性を強調している。

物流グローバリゼーションについては、貿易に関する行政・民間の手続きをすべて1つの「貿易情報連携プラットフォーム」上においてデジタルで実施可能とするとともに、国内外の貿易手続きの円滑化に向けた改善等に取り組むべきとしている。

その他、物流分野における働き方改革と人材育成、地球環境問題・大規模災害および2020年東京オリンピック・パラリンピックへの対応についても、必要な施策を明示した。

◇◇◇

経団連では、提言に基づき、物流の将来像に向けた取り組みを関係各方面に働きかけていく。

【産業政策本部】

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