経団連は10月9日、都内で日本国際問題研究所、外務省と共催で日韓パートナーシップ宣言20周年記念シンポジウムを開催した。日韓パートナーシップ宣言は、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領が両国間の緊密な友好協力関係をより高い次元に発展させ、21世紀に向けた未来志向的な関係を構築することで一致し、署名された共同宣言で、その後の日韓交流の礎となっている。
シンポジウムでは、安倍晋三首相、李洙勳駐日本大韓民国特命全権大使が祝辞を述べた後、パネルディスカッションが行われ、過去20年の日韓協力の歩みを振り返るとともに、今後の日韓関係について意見交換を行った。経団連からは十倉雅和副会長がパネリストとして出席し、経済界の立場からこれまでの日韓協力と今後の課題について発言した。
安倍総理は、「日韓両国は、隣国であるがゆえに難しい問題が存在する。しかし、小渕首相と金大中大統領のような指導者をはじめとする多くの方々の不断の努力により、数々の障壁を乗り越え、今日に至る日韓関係が築かれてきた。昨年の日韓の往来は900万人を超え過去最高となった。これは小渕首相と金大中大統領が日韓パートナーシップ宣言で謳った国民交流と文化交流の成果である。先日、文在寅大統領と会談した際にも今回の20周年を機に、未来志向の日韓関係を発展させていくことをあらためて確認した」とあいさつした。
続いて祝辞を述べた李大使は、パートナーシップ宣言の結果、経済、文化、人的交流が活性化され、両国の往来が着実に増えたことに触れたうえで、「両国国民が互いに往来し、相互理解を向上させる草の根の民間交流は、両国関係を支える強固な土台となっている。本日のシンポジウムが韓日関係を一層発展させるきっかけとなることを期待している」とあいさつした。
その後行われたパネルディスカッションに登壇した十倉副会長は、韓国でのビジネスに触れ、「韓国事業で得られた一番の財産は、韓国の文化とわれわれの企業文化が融合されたことだ」と説明。また、今後の日韓関係について、「日本と韓国は民主主義、自由貿易、市場原理などの同じ価値観を持つとともに、乏しい資源、人口減少、少子高齢化などの共通の課題も抱える課題先進国。このような状況のなかで、日韓は双方の強みであるイノベーション力で新しい事業を起こし、それによりSDGsをはじめとする社会課題の解決に貢献していくべきだ。その一番の土台となるのは、国民の交流、そして文化交流である。日韓パートナーシップ宣言からの20年で築かれた未来志向の基盤を基に、共通の課題や第三国市場において、互いに協力していこうという雰囲気が日に日に醸成されており、共に発展していけると確信している」と発言した。
シンポジウム後は、河野太郎外務大臣主催によるレセプションが開催され、河野外相、額賀福志郎日韓議員連盟会長、竹下亘「日韓パートナーシップ宣言」20周年記念シンポジウム実行委員、十倉副会長(中西会長あいさつ代読)、小渕優子衆議院議員があいさつした。
【国際協力本部】