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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月29日 No.3387 2021年度以降入社対象の学生への影響と採用選考における企業への要望を聞く -就職問題懇談会の山口座長から/教育問題委員会企画部会

経団連は11月15日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(宮田一雄部会長)を開催した。就職問題懇談会(就問懇)の山口宏樹座長(埼玉大学長)から、経団連が2021年度以降入社対象の「採用選考に関する指針」を策定しない旨を決めたことを踏まえ、学生への影響と採用選考における企業への要望について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 就職・採用活動のあり方とは

就職・採用活動は、「学生の学修環境を確保」した「秩序ある」かたちで行われることが望ましい。これまでは企業側と大学側の事前協議・調整を前提に、企業側からは経団連の「採用選考に関する指針」が、大学側からは就問懇の「就職について(申合せ)」が発出され、その枠組みを定めてきた。

しかし、10月の経団連の発表により、21年度入社以降の枠組みが大きく変わることとなった。就問懇としては、「申合せ」が今まで以上に重要になると考えている。

守られない約束ならば必要ないという声があることも承知している。しかし、歴史的経緯と事実をみる限り、一定の方向づけは必要であろう。

一方で、当面は新卒一括採用とこれ以外のスキームでの就職採用活動の混在が進むことが想定される。また、「学生の潜在能力による採用」から「学生時代に身につけた能力による採用」へシフトするなか、大学側としては学修の質保証と学修成果の可視化の必要性を感じている。

■ 19年度「申合せ」における企業等への要請、今後の方向性

就問懇としては、企業等に対し、就職・採用活動日程の遵守を要請する。また、企業等が学期期間中に採用選考活動を実施する場合には、当該活動が学業の妨げとならないよう、(1)学生の学修に十分配慮したかたちでの採用選考活動の実施(2)採用選考開始日より前に採用選考活動をしないこと――の徹底を強く求める。

インターンシップについては、大学側も人材育成の重要なカリキュラムのひとつとして認識している。一方で、その量的拡大・質的充実には課題も多い。さらなる推進には大学側の積極的な協力が必要であり、教育効果の向上には長期インターンシップの実施拡大が求められる。

なお、現在インターンシップは教育プログラムとして位置づけられているが、今後は採用選考との関係をもう少し幅広に整備していく必要があるかもしれない。より広義にとらえて、企業にもメリットのある仕組みを構築していけるかが焦点となる。

さらに、企業等には採用選考において学生の学修成果を適切に評価することを求める。これには、大学側も学生がどのような知識や能力を習得したか、その成果を可視化することが求められ、これには企業側の視点も含めた検討が必要である。

また、学生の自律的学修時間の少なさは、依然として課題である。各大学の教育改革は進みつつあるものの、学生の学修行動に変化が生じるにはまだ時間を要する状況にある。

今後は、「ポスト新卒一括採用」のあり方も含め、短期的課題・中長期的課題のいずれにおいても、企業側と大学側の対話がより一層重要となってくる。引き続き継続的な議論をお願いしたい。

【SDGs本部】

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