経団連の中西宏明会長は12月17日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長は、会長就任から半年でSociety 5.0に関する提言を取りまとめ、実現に向けて各方面に働きかけるなど、最重要課題にしっかり取り組むことができているとし、新しい産業構造への転換に向けて、大きな一歩を踏み出すことができたとの認識を示した。
就活ルールに関して問題提起し、大きな反響があったことについては、この問題は採用ルールにとどまるものではなく、働き方改革につながる課題だと強調。従来の産業構造・働き方から脱却し、いかに知恵を生み出せるかが問われており、社会、地球に貢献していくことが企業の大きな使命との考えを明らかにした。
春季労使交渉に関しては、政府と経済界は賃金引き上げのモメンタムの継続が重要との基本認識を共有しているとしたうえで、政府から要請されたから賃金を引き上げるというものではなく、政府も賃金は労使間の交渉で決まるという賃金決定の大原則を尊重しているとの考えを示した。
産業革新投資機構をめぐる問題については、組織のガバナンスについて政府と経営陣の間のギャップが埋まらなかったものとの見方を示したうえで、双方の主張は理解できるものの、最終的に民間出身の経営陣の総辞任というかたちになったことは残念と感想を述べた。
地球温暖化対策については、現行技術を前提とすれば、原子力なしにパリ協定に基づく日本の削減目標を達成することは不可能と指摘。長期での大幅削減を見据えれば、原子力発電所のリプレース・新増設が必須であることは客観的に見て当然だが、国民の理解なしでは進められないことも事実であるとし、政府に対して引き続き総合的な観点から舵取りをしてほしいとの期待を寄せた。
【広報本部】