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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月1日 No.3390 今後の大学教育のあり方と改革に向けた具体的施策について聞く -教育問題委員会

経団連は12月4日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会(渡邉光一郎委員長、岡本毅委員長)を開催した。11月26日に公表された中央教育審議会(中教審)での答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を踏まえ、玉上晃文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)から、今後の大学教育のあり方と改革に向けた具体的施策について説明を聞き、意見交換を行った。説明要旨は次のとおり。

■ 高等教育を取り巻く状況

2040年は、今年(2018年)生まれた子どもたちが大学の学部課程を卒業するタイミングの年である。Society 5.0や人生100年時代といった産業構造・社会構造の大変革を迎えるなかで、直面する課題を解決するには、「知識」とそれを組み合わせて生み出す新たな価値となる「新しい知」が必要であり、その基盤となるのが教育である。特に、高等教育については、わが国の社会や経済を支えるということだけでなく、世界が直面する課題の解決にいかに貢献できるかという観点が重要となる。

これまで大学経営は、18歳人口の減少が始まって以降も、高等教育機関への進学率の上昇により維持できてきた側面がある。今後進学者数の減少が確実視されるなか、学生の多様性の確保をしたうえで、大学教育の質をいかに保証するかが最重要課題となる。

■ 高等教育改革の動向

中教審の答申では、今後の高等教育の目指すべき姿として、これまでの教える側の論理による教育ではなく、学修者本位の教育へ転換することが重要であると指摘している。また今後は、何を学び、身につけることができたのか、個々人の学修成果を可視化することや、学修者が生涯学び続けられるための多様で柔軟な仕組みづくり、さらには教育研究体制においても、学生・教員の人的多様性と教育プログラムの多様性・柔軟性、それらを受け止めるガバナンスの確保が重要になるとしている。

規模や地域配置については、地域の発展なくして日本の発展はないとの認識のもと、地域における学修者のアクセスの機会を確保するため、地域における「知の基盤」としての必要性を踏まえ、一方で将来の進学動向の推計等に鑑みて検討することが必要である。連携・統合は、経営悪化傾向の大学の救済としてではなく、各大学が特色や競争力をさらに高めるための経営戦略として行われることが期待されている。

今後は、国公私を問わず、多様で優秀な学生・教員の確保と大学経営力の強化が重要となってくる。そのためには、大学は財務・経営情報のほか教育の質に関する情報の公表を促進しなければならない。これは、今後措置される高等教育の無償化にあたって、高等教育の質が確保されることを社会に示していくためにも重要である。

また、就職・採用活動については、経団連が21年度以降の入社者について採用選考に関する指針を策定しないことを表明したことを踏まえ、採用選考に関する議論が活発化している。今後、大学には学生の学修成果等の見える化を求める一方で、産業界に対しては採用プロセスにあたって、求める人材のイメージや技能を具体的に示すことや、大学が示す学修成果の情報を選考活動において積極的に活用すること、企業が学修成果を重視している旨を学生に対して積極的に発信することを期待している。

【SDGs本部】

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