経団連(中西宏明会長)、日本・東京商工会議所(三村明夫会頭)、経済同友会(小林喜光代表幹事)の経済3団体は1月7日、都内のホテルで2019年新年祝賀パーティーを開催した。各団体の会員代表者や安倍晋三内閣総理大臣はじめ政界の要人、大使館関係者ら約1800名が出席し、賀詞を交換した。
来賓あいさつで安倍首相は、「何よりも今年は、経済の足腰を強化していくことが求められている」と述べた。消費税については「前回引き上げて消費が落ち込んだ時の反省を生かし十分な対策を打っていく」としたうえで、「消費税の引き上げを乗り越えて、デフレ脱却を確かなものにしたい」と強調。「新しい時代の幕開けにあたって、政権運営を確かなものとしながら経済を成長させていく。困難な国際状況ではあるが、乗り越えていきたい」と抱負を語った。
中西会長が共同会見
パーティー後、中西会長は共同会見に臨み、経済動向や財政・金融政策などで見解を示した。
■ 日本経済の見通し
消費税率引き上げや米中対立が景気に多少の影響を与える可能性はあるものの、景気動向に影響するまでには至っておらず、日本経済の先行きについては「悲観的に見ていない」との考えを明らかにした。さらに、日本経済のファンダメンタルズは引き続き堅調で、特にデジタル化関連の投資が、製造業に限らずサービス・小売り・流通において本格化していることから、「事業変革というビジネスチャンスが控えている」との見方を示した。
■ 春季労使交渉
賃金引き上げをめぐり、政治と経済界の共通認識ができつつあると指摘。賃金は労使の交渉により決定するという原則に言及したうえで、「近年は働き方改革や社会的な要請を踏まえ、処遇の見直しの必要性が企業間で共有されている」と述べ、経営者の間で賃金引き上げよりも、生産性やモチベーション向上につながる処遇についての議論が多い現状を紹介した。
■ 外国人材の受け入れ
人手不足対策だけでなく、日本社会の多様性を高める観点から外国人材の受け入れを積極的に進めるべきと指摘。改正出入国管理法が成立したことから、「多様な外国人材の受け入れに向けた具体的な議論、取り組みを進める必要がある」との認識を示した。
■ 財政・金融政策
バブル崩壊以降のバランスシート不況を打開するために導入されたのがアベノミクスであり、「成果は出ている」と評価。政府・日銀は、六重苦、とりわけ行き過ぎた円高の是正に大きな役割を果たしてきたが、多少なりとも弊害もみられることから、「それらを踏まえた適宜適切な金融政策を講じつつ、経済の好循環をどう実現していくかが新たな課題となっている」との認識を示した。
■ 安倍政権への要望
短期的には景気対策などを迅速に講じており、「決められる内閣」と評価する一方、長期的な視野に立った政策立案については議論が不十分と指摘。「日本のエネルギーはコストが高く、外国に過度に依存し、温室効果ガスの排出量も多い。将来的に重い課題になることは明らか」として、経済界からも積極的に議論を仕掛けていくと述べた。
■ 経済団体の役割
SDGsに代表されるように、企業活動の目的が社会全体をよりよくすることになりつつあることから、「経済団体も業界の利益を代表するのではなく、社会への貢献という方向に企業を牽引する存在だと国民から認識されなければならない」との考えを示した。
【総務本部、広報本部】