経団連は2月15日、東京・大手町の経団連会館で生活サービス委員会(石塚邦雄委員長、高原豪久委員長、澤田道隆委員長)を開催し、クリエイティブタウン推進機構の望月晴文評議委員、経済産業省の松永明地域経済産業審議官から、生活サービス産業の集積による活性化方策について聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 生活サービス産業の集積による地方の経済成長(望月氏)
人口減少下において、地域の賑わいを取り戻すには、定住者の呼び戻しだけではなく、「まちなか」の再生が不可欠であり、その際、地域のブランドとなる産業と、生活者のためのサービス産業をどう立て直していくかが重要となる。
クリエイティブタウン推進機構では、地域の特色を活かし、外需にもつながるブランド力を持った地域産業をつくることで、外から人を呼び込み、かつ、中でも活性化を図るクリエイティブタウンの概念のもと、人口減少・都市の空洞化が著しい被災地石巻で、都市の再構築と地域経済の再生に向けた取り組みを進めている。
石巻は折からの人口減少に加え、被災によって、人口が18万人から14万人へと減少しており、拡大した市街地の集約化が必要な状況にある。そこで、かつての街を再度つくり上げる、あるいは、減災のみを主眼とするのではなく、石巻の特色でもある「食」をフックにして、農と商をつなげる街づくりを進めている。同時に、地域固有の雑貨や工芸品の展開を集積させ、外部からもその集積に呼び込む環境づくりを目指している。
ハードの再生は順調に進んでいるが、人と賑わいを戻すという観点からは、被災前のレベルに達していないのが実情である。今後は、1つのコンセプトのもとで関係者の連携を促し、対外的にも発信していけるような、マネジメントの力を持った人材の発掘・起用が喫緊の最大課題である。
■ 地域サービス産業の高付加価値化(松永氏)
経済産業省地域経済産業グループでは、都道府県が作成する基本計画に基づいて、地域の中核的企業を支援している。これまではものづくり企業がその中心だったが、今後はサービス業も、顧客が域外から来訪し需要を生み出す場合は地域の中核移出産業になり得る。
サービス業における中核的な企業を創出することは、高齢化による後継者不足や空き店舗の増加等により、商業エリアの魅力が低下するなか、中心市街地の活性化においても相乗効果が見込める。そのためには人の流れをつくり出す仕掛けや、人を呼び込むための魅力的なコンテンツづくりが重要である。ピーク・オフピークの平準化の観点から、高齢者や子育て世代などの地元需要の掘り起こしも必要となる。
こうした動きを進めるためにも、面としての中心市街地の整備だけではなく、地域を牽引する地域中核企業、ストーリーをつくるタウンマネージャーやまちづくり会社、商業者・地権者との調整役となる自治体が相互に連携をしていく必要がある。国としても、これらの動きをバックアップできる体制を構築していく。
【産業政策本部】