Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年4月4日 No.3403  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は3月29日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、海外情勢の影響を受けて半導体材料、スマートフォン、自動車関連などに落ち込みがみられるなど、景気の減速が懸念されるものの、日本経済全体に必ずしも大きな影響を及ぼすものではないと指摘。IoTやAIなどを中心に先を見通した投資活動はむしろ増えていると述べた。

消費税率引き上げに向けては、経済界として必要な対応を着実に行っていくとしたうえで、政府には、10%への引き上げをしっかり行ってほしいと要望した。

電力政策をめぐっては、電力自由化が当初意図した電気料金低下に必ずしもつながっていないと指摘。電力システム改革により小売の自由化は実現したものの、料金低下より電力会社の投資の減少を招いたとして、自由化のもとでの諸政策のあり方について再考する必要があると述べた。発電状況をみると、火力の比重が高まるとともに、不安定な再生可能エネルギーが増加し、健全な市場構造になっていないとの認識を示した。

コンビニエンスストア各社への自主行動計画策定の要請については、生活を支える重要なインフラであることを踏まえたものと指摘。24時間営業をめぐってはコストや人手不足の問題が存在し、顧客ニーズへの対応を踏まえ業界が判断していくものとの見解を示した。

中小企業政策については、デジタルトランスフォーメーションにより、大企業と中小企業、元請と下請といった産業構造から、企業間での情報共有が水平展開されるサプライチェーンに変わっていくなか、特色ある、競争力ある中小企業がどう力を発揮していくかが、日本の産業構造を考えるうえで重要と指摘。経団連への中小企業の入会は増えており、経団連のプラットフォームを有効活用してほしいと述べた。

採用選考活動をめぐっては、単なる日程の問題ではなく、企業経営の最も重要なリソースである「人材」の問題だと強調。イノベーションが求められる時代に、必要な人材をどう採用し、どうキャリアを形成するかという方法論が大きく変わっていくなか、大学教育、採用のあり方を前向きに議論したいとの問題意識で議論していると述べた。

Brexitについては、政治的な混乱やポンドに対する信頼も懸念される状況になってきたと指摘。現状を踏まえた対処を真剣に考るべきだとしたうえで、大陸との取引が多い企業とそうでない企業とでは、対応に差があるだろうと述べた。

【広報本部】