経団連は4月24日、2018年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」を発表した。同調査は、企業における退職金・年金の実態と退職金水準の動向を把握し、制度見直し等の参考とするために1973年より2年に1回実施している。18年9月度調査は、経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業のうち252社(従業員500人以上規模81.0%)から回答を得た。概要は次のとおり。
1.標準者退職金
標準者退職金(学校卒業後直ちに入社した後、標準的に昇進・昇格した者を対象に算出した退職金)は、職種別・学歴別のいずれにおいても勤続年数・年齢の上昇に伴って増加している。「管理・事務・技術労働者(総合職)」の60歳では、大学卒(勤続38年)が2255.8万円、高校卒(勤続42年)が2037.7万円となっている。また、1年当たりの増加幅をみると、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の大学卒は勤続年数30年(1629.8万円)と33年(1959.9万円)の間、高校卒は勤続年数35年(1561.9万円)と37年(1781.8万円)の間で最も大きく、増加額はいずれも約110万円/年であった。
2.賃金改定額と退職金算定基礎額との関係
「賃金改定額とは関係なく別建て」とする企業割合が増える傾向にあり、前回の16年調査(80.2%)を上回って過去最高(84.0%)を更新した。
別建てとしている企業では、職能等級や勤続年数等を一定の点数に置き換えて退職金を算定する「ポイント方式」を採用している企業(83.2%)が最も多くなっている。ポイント方式を採用している企業の配分割合をみると、各勤続年数・年齢において概ね、「資格・職務要素」が60%台、「年功要素」が20%前後~20%台半ば、「考課要素」が10%弱となっている。傾向としては、勤続年数・年齢の上昇に伴い、「資格・職務要素」の配分割合が高まる一方、「年功要素」は逓減している。
3.退職金制度の形態
「退職一時金制度と退職年金制度の併用」(72.1%)が最も多い傾向に変化はない。他方、「退職年金制度のみ」(13.0%)は前回調査(11.7%)より若干増加し、「退職一時金制度のみ」(10.9%)は前回調査(13.4%)より減少している。
「退職年金制度」を有している企業における年金制度の種類(複数回答)をみると、「確定拠出年金・企業型」が前回調査(57.4%)から10.3ポイント増えて67.7%となり、この項目の選択肢に「確定拠出年金」を追加した02年調査以降で最高値を記録した。このほか、「確定給付企業年金・規約型」が48.4%、「確定給付企業年金・基金型」が26.5%となっている。
4.確定拠出年金のマッチング拠出導入状況
「確定拠出年金・企業型」におけるマッチング拠出(事業主掛金を上回らない範囲で、加入者である従業員も掛金を拠出できる制度)を「導入済み」と回答した企業は、同項目を開始した12年調査では6.6%であったが、16年調査では35.8%となり、今回は45.5%と半数近くに及ぶなど、着実に増加している。
【労働政策本部】