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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年6月13日 No.3411 説明会「同一労働同一賃金に係る改正労働者派遣法への対応」を開催

経団連は5月20日、東京・大手町の経団連会館で、説明会「同一労働同一賃金に係る改正労働者派遣法への対応」を開催した。企業の人事担当者を中心に約320名が参加し、厚生労働省職業安定局の牛島聡需給調整事業課長から、2020年4月施行予定の改正労働者派遣法の概要や、法改正にかかる実務対応について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 法改正の概要

今回の法改正により、派遣労働者について、(1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備――がなされる。

(1)により、派遣元は、派遣労働者の待遇について、派遣先労働者との均等・均衡待遇の確保(派遣先均等・均衡方式)もしくは一定の要件を満たす労使協定による待遇の決定(労使協定方式)のいずれかを実施することが求められる。

■ 派遣先における実務対応

(1) 派遣先均等・均衡方式の場合

派遣先は、労働者派遣契約の締結にあたり、あらかじめ派遣元に対し、比較対象労働者の待遇等に関する情報を提供することが求められる。比較対象労働者の選定にあたっては、「職務の内容」と「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同じ通常の労働者(いわゆる「正規型」の労働者および無期雇用フルタイム労働者)が最も優先されるが、比較対象となる通常の労働者がいない場合は、通常の労働者との間で均衡待遇が確保されている短時間・有期雇用労働者、同一の職務に従事させるために新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合の「仮想の通常の労働者」の順に選定される。

派遣料金の交渉において、派遣先は、派遣元が均等・均衡待遇を確保できるように配慮する必要があり、契約の締結または更新がされた後にも継続的な配慮が求められる。

また、派遣先の労使交渉の結果などにより、比較対象労働者の待遇に変更が生じた場合、派遣先は、派遣元に対し、変更内容と変更が生じた時期について遅延なく情報提供することが求められる。

さらに、派遣元において、待遇に関する説明義務の履行などにあたり、追加の情報が必要になった場合、派遣先は、派遣元の求めに応じて、自社の労働者に関する情報や、派遣労働者の業務の遂行の状況等に関する情報を追加的に提供するなど、必要な協力を行うよう配慮が求められる。

(2) 労使協定方式の場合

労使協定方式の場合でも、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練と福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)は、派遣先均等・均衡方式によらなければ実質的な意義を果たせない。このため、派遣先は、これらの待遇に限り、派遣元に情報提供する必要がある。

また、派遣先均等・均衡方式の場合と同様に、派遣先には、派遣料金の交渉における配慮や、追加の情報提供に関する配慮が求められる。

なお、労使協定の内容や手続きに不備がある場合は、派遣先均等・均衡方式が適用される。派遣先においても、派遣元と緊密にコミュニケーションを取ることで、適切な労使協定が締結されているかどうかを確認しておくことが望まれる。

【労働政策本部】


説明会終了後、参加者から寄せられた質問について、厚生労働省より回答がありましたのでご覧ください。

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