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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月11日 No.3415 米国留学生出身国の変化とトランプ政権 -ワシントン・リポート<61>

全米各地に所在する大学は5月の卒業式シーズンを終え、新たな1年の始まりを控えた雰囲気に包まれている。

全米各地の大学はこれまで世界各国からの多くの留学生を惹きつけてきた。ワシントンDCに所在するInstitute of International Educationの留学生動向に関する調査「Open Doors」によると、2017年から18年の全米各地の留学生総数は109万4792人を記録し、大学生数の5.5%を占めるに至っている。内訳としては、アジアからの留学生が多く、留学生全体の69.2%を占めている。

図表1のとおり、過去10年間の留学生の出身国・地域の変化を見ると、近年、中国ならびにインドからの留学生の増加が著しく、とりわけ中国からの留学生数はいまでも伸び続け、留学生全体の約3分の1を占めるに至っている。一方で、日本からの留学生数は10年前に比べ約半数にまで減少していることが見て取れる。

図表1 留学生出身国・地域上位10カ国の変化
2007-08年2017-18年
順位国名人数国名人数
インド94,563中国363,341
中国81,127インド196,271
韓国69,124韓国54,555
日本33,974サウジアラビア44,432
カナダ29,051カナダ25,909
台湾29,001ベトナム24,325
メキシコ14,837台湾22,454
トルコ12,030日本18,753
サウジアラビア9,873メキシコ15,468
10タイ9,004ブラジル14,620
出所: Open Doors, Institute of International Education

もっとも、図表2のとおり、過去2年ほど米国の大学への留学生の新規入学者数は減少傾向にある。この理由については、ビザ発給の厳格化などトランプ政権の対外的な強硬姿勢が留学生の入学者数に影響を及ぼしているとの指摘もある。

図表2 米国の大学・大学院等への新規留学生入学者数
2012-13年2013-14年2014-15年2015-16年2016-17年2017-18年
合計(人数)250,920270,128293,766300,743290,836271,738
出所: Open Doors, Institute of International Education

これまで米国は高等教育というソフトパワーの市場で世界を圧倒し、各界に優秀な人材を輩出し続けてきたが、この傾向が続いた場合、この分野での米国の相対的な影響力の低下が懸念される。

また、留学生の学費収入に経営を依存している大学が存在するともいわれており、留学生数の減少が大学の統廃合を引き起こす可能性も否定できず、今後の留学生数の推移に注目が集まるところである。

【米国事務所】

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