経団連では、企業の実務担当者によるグローバル・ビジネスの現状に関する講義を通じ、学生にグローバル・ビジネスで働くことの動機づけを行うため、上智大学とともに2012年度から連携授業「経団連グローバル人材育成モデル・カリキュラム」を実施している。
7月10日、東京・大手町の経団連会館で、今年の春学期に開講し31名の学生が受講している講座「グローバル・ビジネスのフロンティア」の最終講義を開催した。
同講座は、グローバルに活躍する企業人が講義を行うとともに学生にグローバル・ビジネスにおける課題を提示し、学生はグループ討議や学習を通じて課題への対応策をまとめるというPBL(Project Based Learning)型の教育カリキュラムとなっている。今年度はキヤノン、積水化学工業、双日(※)の経団連会員企業3社が協力。各社からは、日本本社から海外子会社への出向社員と現地採用社員それぞれの役割や留意点、日本人・タイ人それぞれの思考の軸から考察したタイ市場の特性、日本の食料産業の海外展開につながる具体的プロジェクトの提案といった課題が提示され、学生は6つのグループに分かれていずれかの課題に取り組んだ。
最終講義では、各グループから課題解決に向けて熱のこもったプレゼンテーションが行われ、それに対し、協力企業の講師や出席者が質疑や講評を行った。出席者からは、「問題点の掘り下げが的確であり、ビジネスで直面する課題に対する一つの答えを出してくれた」「プレゼンテーションに筋道が通っていて大変聞きやすかった」「経営会議でプレゼンテーションを聞いているかのようなすばらしい内容。提案の切り口が秀逸であり、ビジネスになり得る」などの感想が寄せられた。
最後に、上智大学学務担当副学長の大塚寿郎氏があいさつし、「今回の授業を通して、学生は現在勉強していることが将来どこでどう役に立つかを実感し、いまの学びに対する大きなモチベーションにつながったのではないか。同時に、自分の足りていない点にも気づいたと思うので、今後はさらにしっかり勉強してほしい。学生諸君が世界で必要とされるグローバル人材として成長していくことが、本講座の一つのゴールである。高い志を持って貪欲にチャレンジしてほしい」と総括した。
経団連では、今年秋も引き続き上智大学との連携授業を実施していく予定である。
※ 講師を務めたのは双日のグループ会社、双日総合研究所の社員
【SDGs本部】