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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年9月5日 No.3421 「激変する通商環境と関西の産業」 -21世紀政策研究所が大阪でセミナー開催

21世紀政策研究所(飯島彰己所長)は8月7日、大阪市内でセミナー「激変する通商環境と関西の産業」を開催した。

同研究所の研究委員である渡邊頼純関西国際大学国際コミュニケーション学部長が、最近の通商をめぐる国際情勢の動きを解説し、その後、同研究所研究委員の赤穂啓子日刊工業新聞社大阪支社論説副委員長をモデレータとして、日本機械輸出組合の赤津光一郎専務理事も加わり、通商分野での変化が及ぼす関西の産業界への影響についてパネルディスカッションを実施した。概要は次のとおり。

■ 激変する通商環境と関西の産業~不確実性の時代をどう切り抜けるか
(渡邊頼純研究委員)

G20大阪首脳宣言を振り返ると、保護貿易主義への対抗という強いメッセージは出なかったものの、自由貿易の諸要素を盛り込めたこと、また、鉄鋼の過剰生産能力に関して、中国が反対するなか、グローバルフォーラムの継続を合意できたことは評価できる。いずれもホスト国として日本が頑張った結果といえる。

世界の不確実性の要素の1つが、米中貿易摩擦。トランプ大統領が貿易問題をスケープゴートにして国内支持を固める手法は今後も維持していくため、米中の覇権争いは今後も続く。そのなかで日本にとっては、トランプ大統領と安倍首相との良好な関係を利用し、トランプ大統領を「既存秩序の破壊者」から「創造的破壊者」へとリードしていく知恵と戦術がカギになる。

2つ目の不確実性は英国のEU離脱問題。ジョンソン首相がいままでの主張どおり10月末日に合意なき離脱をすることは額面どおり受け取れない。解散総選挙の可能性もあるため、今後、混迷は深まり、かつ延びる可能性がある。

3つ目の不確実性は日韓関係。今回の措置は、日本が輸出管理体制をきちんとやろうということであるが、韓国側には非常に激しい、感情的な反発が起きており、現在、出口が見えない戦後最悪の状況である。

これらの不確実性のなかで、日本は世界のグローバルなバリューチェーンを守りつつ、それに合った国際貿易体制を維持していくことが重要であり、そういう役割が果たせる国にいま、なりつつあるということである。

今後の関西経済発展のアイデアとしては、訪日客の消費額や消費単価を高めること、また、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)やTPP11(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ)の事務局の誘致、アジアのために働く若い人たちを養成する学校の設置など、東アジアの拠点都市として関西・大阪を位置づけていくことではないか。

■ 通商環境が及ぼす日本の産業界への影響と企業の対応状況
(パネルディスカッション)

赤津氏から、日本の産業界が心配する米国の対中国への関税引き上げは、来年2月には大統領選挙予備選挙も始まることから、11月のAPEC首脳会議時に何らかの合意がなされる可能性があり得るのではないかという見方が示された。また、企業が生産拠点を移管する際に、迂回輸出とみられないのかとの指摘に関しては、移管先で相応の付加価値がつけられれば心配することはないとする一方、現在、ベトナムから米国への輸出が極端に増加しているため、米国がベトナムを貿易赤字の相手国だと警戒し始めることがあるのか注視する必要があると言及。米中貿易摩擦は、関税の問題以外に技術覇権争いの側面もあり、これは簡単に解決しないとして、日本企業は米国が考える「渡していい技術」と「渡したくない技術」を把握するべくフォローしていく必要があると指摘した。また、韓国への輸出管理強化についてはその詳細を説明し、輸出する企業は正しい情報を取得し対応すれば心配はないと述べた。

最後に、関西でのIR(統合型リゾート)そして万博の開催が、関西経済界が発展する一つのステップになればと期待するコメントを出席者それぞれが発言した。

【21世紀政策研究所】

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