1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2019年9月19日 No.3423
  5. 「令和2年度税制改正に関する提言」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年9月19日 No.3423 「令和2年度税制改正に関する提言」を公表 -企業の国際競争力の強化に資する連結納税制度の改正等を要望

経団連(中西宏明会長)は9月17日、「令和2年度税制改正に関する提言」を公表した。今回の提言では、基本的考え方として、社会全体でイノベーションを起こし、生産性の向上を通じて、経済の好循環を実現することが必要としたうえで、政府方針である「経済再生なくして財政健全化なし」に基づき、さまざまな改革を実施すべきとした。

1.Society 5.0の実現に向けた企業の生産性向上に資する税制措置の整備

連結納税制度については、政府税制調査会で個別申告方式への転換が打ち出されている。提言では、日本企業の国際競争力を強化し、経済再生を実現する観点から見直しをすべきであり、これまで連結納税制度を採用していた企業に不利益が生じないものとすべきであるとした。そのうえで、企業の一体的グループ経営という実態を踏まえ、研究開発税制や外国税額控除、国内および海外の受取配当益金不算入制度に関し、グループを一体として税額控除等を適用するグループ調整計算は必ず維持すべきと提言した。また、システム開発や企業の準備のスケジュール等も踏まえ、十分な移行期間を確保すべきとした。

税務手続の簡素化・デジタル化の関係では、法人税においては申告期限の延長が認められている一方、消費税については延長が認められず、追加的な事務負担が発生していることから、法人税の申告期限の延長と合わせるかたちで消費税の申告期限を延長すべきとした。

また、AI、ビッグデータ、IoTなどの技術革新を推し進めるベンチャー企業の創業支援を図り、新たな付加価値を創出して経済再生を実現するという観点から、事業会社やコーポレートベンチャーキャピタル等によるベンチャー投資について税制上の支援措置を講ずるべきとした。

2.法人課税の諸課題

地方法人課税では、電力・ガス供給業における収入金課税の見直しについて、小売自由化や法的分離により、競争環境が変化するなかで、今次改正で収入金課税から所得割および外形標準課税への移行を確実に実現すべきとしている。また、長期保有土地等に係る特定事業用資産の買換特例の延長・拡充等も提言した。

3.国際課税の諸課題

国際課税では、外国子会社合算税制における合算範囲の適正化等に加え、経済の電子化に伴う課税のあり方の見直しに関しては、第1の柱の利益配分ルールで対象の適切な絞り込みや、市場国への穏当な利益配分、二重課税の防止・排除が必要としている。また、第2の柱のミニマム課税では事務負担の少ない簡素な制度とし、実態ある事業に関わる能動的所得は対象から除外すべきとした。

4.その他

そのほか、海外投資等損失準備金制度の延長・拡充、非製品ガスに係る石油石炭税の還付措置、航空機燃料税に関する軽減措置、新築住宅に係る固定資産税の軽減措置、退職年金等積立金に係る特別法人税の凍結措置など期限を迎える措置の延長を求めるとともに、地球温暖化対策税の廃止を含めた抜本的な見直し、自動車関係諸税の簡素化、ユーザー負担の軽減、NISA(少額投資非課税制度)の投資可能期間および非課税保有期間の恒久化、印紙税の廃止・負担軽減等を要望した。

【経済基盤本部】

「2019年9月19日 No.3423」一覧はこちら