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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年9月19日 No.3423 東方経済フォーラムに朝田日本ロシア経済委員長が参加 -極東をゲートウエーとした日露ウィン・ウィンビジネスの拡大と深化に向けて

政官民関係者約300名が参集した日露ラウンドテーブル

経団連の朝田照男日本ロシア経済委員長は、9月4日から6日にかけてロシア・ウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」に4年連続で出席した。ロシア極東開発を国家戦略の最重要課題の一つと位置づけるウラジーミル・プーチン大統領の肝煎りで2015年に始まった同フォーラムに、今年は安倍晋三総理大臣、ナレンドラ・モディ・インド首相など、65カ国・地域から約8500名もの政府首脳・企業経営者などが参加した。

マクシム・オレシュキン経済発展大臣や世耕弘成経済産業大臣(当時)ら日露政府・企業関係者約300名が出席した日露ラウンドテーブル(9月5日)での朝田委員長スピーチ概要ならびに主な成果は次のとおり。

<朝田委員長スピーチ>

■ 極東に対する日本企業の見方

極東では経済特区やウラジオストク自由港、電子ビザ導入等、さまざまな投資誘致策が講じられており、日本経済界も極めて高い関心を寄せている。実際、経団連が9月4日に公表したロシアのビジネス環境等に関するアンケートでは、有望な地域として極東が「60.9%」と、過去最高を記録した。

一方、日本企業からは依然として「正確で客観的な情報が不足している」「法的安定性や予見可能性に不安がある」といった声が聞かれることも事実である。経団連として、企業向け説明会の開催など、引き続き普及啓発に取り組んでいく一方、ロシア側にも一層の尽力を期待したい。

■ 極東開発をめぐる課題とポテンシャル

極東を日露ウィン・ウィンビジネスの真のゲートウエーとする観点からは、(1)極東の輸出基地化に資するインフラ整備(2)特区内の優遇措置である税の減免期間の延長など投資インセンティブの拡充(3)投資後のアフターケア――が不可欠である。ロシア政府には外国投資家の視点に立って、引き続き極東の投資環境整備に取り組んでほしい。

他方、極東で有望な分野として、インフラ整備、農業、医療、観光業等が挙げられる。長年の課題であるインフラ整備に関しては、シベリア鉄道を利用した内陸輸送の取り組みに成果がみられる。また、医療は、ロシア政府が平均寿命の伸長に向けてさまざまな政策を打ち出すなか、市場の拡大が期待される分野である。さらに、日本企業が成田・ウラジオストク間の直行便の就航を決定したことで、観光業・ホテル業等にも大いに商機があろう。

極東ビジネスに関する経団連の考え方を説明する朝田委員長(中央)

<主な成果と今後の取り組み>

朝田委員長は経団連の最新のアンケート結果を踏まえ、日露ラウンドテーブルにおけるロシア官民との意見交換を行ったほか、個別会合やロシアの有力シンクタンクによるインタビュー等を通じて、極東をゲートウエーとした日露ウィン・ウィンビジネスの拡大と深化に向けた経団連の考え方や要望を具体的に訴えた。

経団連は、来年2月18日、モスクワでロシア産業家企業家連盟(RSPP)と共催予定の第16回日本ロシア経済合同会議等を通じて、8項目の「協力プラン」(注)の実現に積極的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を粘り強く働きかけていく。また、20~21年に「日露地域交流年」が実施されることを踏まえ、地方都市も視察し、草の根交流の拡大にも努めていく。

(注)2016年5月にソチで開催された日露首脳会談において、安倍首相からプーチン大統領に提示された。(1)健康寿命の伸長 (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市づくり (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大 (4)エネルギー (5)ロシアの産業多様化・生産性向上 (6)極東の産業振興・輸出基地化 (7)先端技術協力 (8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】

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