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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月3日 No.3425 職業安定行政の主要課題と今後の方向性聞く -雇用政策委員会

経団連は9月3日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会(岡本毅委員長、淡輪敏委員長)を開催し、厚生労働省の小林洋司職業安定局長から「職業安定行政の主要課題と今後の方向性について」をテーマに講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 現在の雇用情勢

雇用情勢は着実に改善が進み、求人が求職を大幅に上回って推移している。2019年7月の完全失業率は2.2%、有効求人倍率は1.59倍に達している。

生産年齢人口が減少するなかにあっても、就業者数は増加しており、女性および高齢者の活躍促進に関する各種施策推進により、女性と65歳以上の就業者数が増えている。

■ 職業安定行政の課題

2040年には高齢化がピークを迎え、現役世代人口の急減に直面するため、多様な就労・社会参加を促す取り組みが求められる。

就職氷河期世代対策として、3年間で正規雇用者を30万人増やすという目標を掲げ、地域ごとのプラットフォームの形成・活用を推進する。また、民間事業者のノウハウを活かした不安定就労者の就職支援やハローワークの専門窓口によるチーム支援等を実施していく。

高齢者の活躍促進に向けては、成長戦略実行計画に70歳までの就業機会確保に向けた多様な選択肢が明示されており、制度面・環境面での整備を行う。制度面では、従来の65歳までの雇用確保措置に加えて選択肢を広げ、環境面では、労働者本人や企業、地域の取り組みを支援する。

中途採用の促進に向けては、中途採用の実績に関する情報公表を求めるなどの取り組みを進めていく。

雇用保険制度については、雇用保険料と国庫負担の時限的な引き下げの継続等について検討する。

■ 雇用政策の課題

外国人労働者は増加傾向にあり、18年度は146万人に上っている。19年4月には在留資格「特定技能」が創設され、一定の専門性・技能を有し、特定産業分野に従事する外国人材の受け入れを開始した。

また、地方公共団体とハローワークが連携し、国内外の外国人が円滑に地域に就職・定着できるモデル事業を実施する。

民間企業の障害者雇用者数は年々増加し、15年連続で過去最高を更新した。近年、雇用者数が増加している精神障害者については、働き方改革実行計画に基づき、障害の特性等に応じて職場定着支援等を進めている。

派遣制度については、20年4月の改正労働者派遣法施行により、正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消するため、派遣元事業主には、派遣先均等・均衡方式、または労使協定方式のいずれかを選択することが求められる。

また、派遣先には、派遣料金の額について、派遣元事業主がいずれかの方式による待遇改善を行えるよう配慮義務が課される。

加えて、日雇派遣の原則禁止など、12年・15年の改正労働者派遣法の施行状況を踏まえた検討に着手する。

【労働政策本部】

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